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生前贈与で知っておきたい贈与税の税率を分かりやすく解説【税理士監修】

生前贈与

写真:萱谷 有香

監修者

萱谷 有香

叶税理士法人 東京事務所代表
税理士・上級相続カウンセラー

目次

生前贈与を検討している方が気になるポイントとして、贈与税の税率や計算方法があるのではないでしょうか。
この記事では、生前贈与で知っておきたい贈与税の税率をはじめ、相続税と比較した納税シミュレーション、贈与税の非課税制度について解説します。

1. 生前贈与にかかる贈与税の税率

暦年贈与による生前贈与でかかる贈与税の税率は、誰から誰に贈与するのかによって異なり、「特例税率」と「一般税率」との2種類に分けられます。
まずは、それぞれの贈与税率について解説していきます。

1-1. 贈与税の特例税率(特例贈与財産用)

贈与税の特例税率とは、父母・祖父母など(直系尊属)から、贈与を受ける年の1月1日において20歳以上である子や孫など(直系卑属)への贈与で使われる贈与税の税率です。
例えば、祖父から20歳以上の孫への贈与、母から20歳以上の子供への贈与で使用されます。
父母・祖父母からの贈与で使える特例税率は、兄弟や第三者からの贈与よりも贈与税の税率が低くなっており、具体的には以下のとおりです。

基礎控除後の課税価格200万円以下400万円以下600万円以下1,000万円以下1,500万円以下3,000万円以下4,500万円以下4,500万円超
税率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額10万円30万円90万円190万円265万円415万円640万円

1-2. 贈与税の一般税率(一般贈与財産用)

贈与税の一般税率とは、前述した特例税率に該当しない場合の贈与で使われる贈与税の税率です。
例えば、兄弟からの贈与や夫婦間の贈与、第三者からの贈与、親子間であっても子が未成年の場合は一般税率が使用されます。
贈与税の一般税率は、以下のとおりです。

基礎控除後の課税価格200万円以下300万円以下400万円以下600万円以下1,000万円以下1,500万円以下3,000万円以下3,000万円超
税率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額10万円25万円65万円125万円175万円250万円400万円

出典:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

2. 生前贈与にかかる贈与税の計算方法や相続税との違い

生前贈与を検討するにあたって「相続と生前贈与、どっちがいいの?」と悩む方は多いでしょう。そこで続いては、生前贈与にかかる贈与税の計算方法や相続税との違いについて解説していきます。

2-1. 贈与税の計算方法比較

生前贈与にかかる贈与税は、贈与額から基礎控除額の110万円を差し引いた金額に対して課税されます。贈与税の基本的な計算方法は、以下のとおりです。

  1. 贈与財産の価額から基礎控除額(110万円)を差し引き、課税価格を出す。
    [ 贈与を受けた財産の合計 ] - [ 基礎控除額 110万円 ] = [ 贈与税の課税価格 ]
    贈与税の課税価格の算出方法
  2. 税率一覧表に基づき、贈与税の計算を行う。

贈与税の計算方法は、贈与する財産の種類によって異なります。

例えば、現金を生前贈与するよりも、同じ金額で購入した土地などの不動産を生前贈与するほうがかかる贈与税の金額は安くなるため、譲る財産の種類についても検討が必要になってきます。
贈与する財産別の贈与税計算方法についての詳細は、以下の記事をご覧ください。

2-2. 贈与税と相続税の納税シミュレーションを比較

贈与税と相続税の税率を比較した場合、贈与税のほうが課税価格に対して高い税率が設定されています。

贈与税と相続税の税率の比較

贈与税 相続税
基礎控除110万円を引いた贈与額 税率 法定相続分に応じた取得金額 税率
200万円以下 10% 1,000万円以下 10%
400万円以下 15% 3,000万円以下 15%
600万円以下 20% 5,000万円以下 20%
1,000万円以下 30% 1億円以下 30%
1,500万円以下 40% 2億円以下 40%
3,000万円以下 45% 3億円以下 45%
4,500万円以下 50% 6億円以下 50%
4,500万円超 55% 6億円超 55%
  • 上記の贈与税率は「特例税率」です。

例えば、父から20歳以上の子に課税価格5,000万円の財産を譲る場合、生前贈与と相続それぞれの納税シミュレーションは以下のようになります。

贈与税の納税シミュレーション
5,000万円×55%-640万円(控除額)= 2,110万円

相続税の納税シミュレーション
5,000万円×20%-200万円(控除額)= 800万円

しかし、だからといって必ずしも生前贈与のほうが、納税額が多くなるということではありません。生前贈与は少額ずつ分割することができるため、贈与税の基礎控除内に収めることも可能です。また、贈与税が非課税になる特例を利用することができるため、対象となる財産が多ければ多いほど、早いタイミングから生前贈与などの相続へのお取り組みを検討することが大切なのです。

3. 生前贈与には贈与税の非課税制度を活用

前述のとおり、生前贈与には贈与税が非課税になるいくつかの特例を活用することができます。贈与税の非課税特例は、以下のとおりです。

また、生前贈与を行う場合、原則として贈与税は贈与を受けたすべての財産に対してかかるものですが、そもそも贈与税がかからないケースもあります。

例えば、父母や祖父母から子や孫に対する扶養義務の範囲と考えられる生活費や養育費、結婚や出産にかかる費用などは、社会通念上相当であると認められる範囲内の金額であれば贈与税がかかりません。
さらに、贈与税には基礎控除があるため、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税の課税対象にはなりません。

4. 生前贈与で贈与税率以外に気をつけたいポイント

生前贈与を検討するにあたっては、贈与税の税率や計算方法以外にもいくつか気をつけておきたいポイントがあります。

4-1. 親子間でも高額の金銭のやり取りには贈与税がかかる

先ほど、父母や祖父母から子や孫に対する扶養義務の範囲内や年間110万円以下であれば贈与税はかからないという説明をしましたが、あまりにも高額の金銭をやり取りがあった場合には贈与とみなされて贈与税がかかる可能性が高くなります。

例えば、親子間であっても、基礎控除の110万円を超える額の財産を受け取った場合は、110万円を超える分については贈与税がかかります。
また、親子間で高額な金銭の貸し借りを行った場合も、あまりにも高額で返済不可能と思われる貸し借りや、契約書のない貸し借り、利子や返済期限が設定されていない貸し借りについては、贈与とみなされる可能性が高くなります。

4-2. 孫への生前贈与では遺留分侵害に注意

祖父母から孫への生前贈与では、遺留分に注意が必要です。
遺留分とは、法定相続人(配偶者もしくは子供)が一定割合の相続を受けることを保障する法律上の制度のことです。

例えば、祖父の財産のほとんどを生前贈与で孫に贈与してしまったという場合、祖父が亡くなった後で祖母や祖父の子供が遺留分の権利を主張し、遺留分減殺請求を行うケースも考えられます。孫への生前贈与では、自身の死後に孫が予期せぬトラブルに巻き込まれてしまわないよう十分配慮する必要があるでしょう。

4-3. 生前贈与後に行う申告は「確定申告」ではなく「贈与税の申告」

「贈与税の申告」と「確定申告」は申告期限が同時期のため、どちらも同じものだと考えてしまう方もいらっしゃいますが、生前贈与後に行う申告は、確定申告ではなく贈与税の申告です。
確定申告は所得税等を計算して申告する手続きのため、贈与を受けたときの申告は確定申告で行うことはできません。生前贈与で贈与税の申告を行う際は注意しておきましょう。

4-4. 土地など不動産の生前贈与では贈与税以外にかかる税金に注意

現金だけでなく、保有する土地などの不動産を生前贈与したいと考える方もいらっしゃるでしょう。土地など不動産を生前贈与することで、現金の贈与と比べて財産評価額を抑えられる可能性があるというメリットがあるため、相続へのお取り組みとして活用されるケースも多いです。

しかし、土地などの不動産を生前贈与する場合、贈与税以外に「不動産取得税」「登録免許税」「固定資産税」などの税金がかかります。予定外の納税に慌てることがないよう、事前に把握しておきましょう。

5. 最後に

贈与税の税率は、誰から誰に贈与するのかによって異なり、また贈与する財産の種類によっても変わってきます。贈与税の非課税制度を利用することもできるため、生前贈与にかかる贈与税についてはしっかりと知識を身につけておくことが大切です。

※本コラムに記載された内容は、各種の事例や文献を基に一般論として述べたものです。弊社から当該物件の購入についての税務に関する何らの示唆 および確定的な見解を示すものではなく、本資料に記載された算出方法や評価額など一切について正確性および確実性を保証するものではありません。 具体的な申告書の作成などにあたりましては、税理士などの専門家や所管の税務署などにご相談いただきますようお願いいたします。
※ 分譲マンションの相続税評価額については、「居住用の区分所有財産の評価について(国税庁)」に定められた評価方法が適用されます。
※ 一定期間の保有が条件となります。
※ 評価額は物件により異なります。

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  • 相続税の圧縮効果を含めた税務の取り扱いについては、個別具体的な事情に応じて適用が異なる可能性がありますので、税理士等の専門家にご相談ください。
写真:萱谷 有香

監修者

萱谷 有香かやたに ゆか

叶税理士法人 東京事務所代表
税理士・上級相続カウンセラー

プロフィール
掲載記事

大学卒業後は、英会話教材を飛び込み営業により訪問販売しておりましたが、一生働ける仕事をしたいと思い税理士を目指しました。
不動産投資に特化した税理士事務所で働きながら、沢山の収益物件について税務と投資の面で多くの知識を得られたことを活かし、自分でも不動産投資を始めました。
現在では5棟の物件を保有しつつ、不動産投資家さんの気持ちがわかる税理士になるよう日々勉強し、色々な情報を集めています。
不動産投資専門の叶税理士法人https://tax.kanae-office.com/

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