⼈気記事ランキング

ピックアップ記事

記事を月で絞り込む

相続対策として生命保険が活用される理由と注意点【税理士監修】

相続対策

写真:萱谷 有香

監修者

萱谷 有香

叶税理士法人 東京事務所代表
税理士・上級相続カウンセラー

目次

生命保険が相続対策になるという話を耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。生命保険は確かに相続対策に有効な商品として活用されていますが、注意しておきたい点もあります。生命保険を相続対策として活用するには、なぜ生命保険が相続対策になるのか、その仕組みを正しく理解することが重要です。
この記事では、生命保険が相続対策になる理由や注意点について解説します。

1. なぜ生命保険が相続対策になるのか

まずは、なぜ生命保険が相続対策に活用されているのか、理由をご説明します。

1-1. 非課税枠が適用できる

生命保険が相続対策として有効な理由は、生命保険金等の非課税控除が適用できるからです。
被相続人が亡くなったときに受け取る生命保険の死亡保険金は、基本的に相続税の課税対象となります。しかし、受け取った死亡保険金が生命保険金等の非課税枠内であれば、相続税はかかりません。
相続税の非課税枠は、以下の計算式で算出します。

500万円×法定相続人の人数

例えば、受取人が配偶者と子供2人の計3人という場合、生命保険から受け取る死亡保険金の金額が1,500万円以内であれば相続税はかかりませんが、死亡保険金の金額が2,000万円であれば、非課税枠を超える500万円に対してのみ相続税がかることになります。

また、相続税にはそもそも基礎控除があるため、相続財産が以下の計算式で算出する基礎控除額以下であれば、相続税は非課税となります。

3,000万円+600万円×法定相続人の人数

例えば、相続人が配偶者と子供2人という場合、生命保険から受け取る死亡保険金以外に相続財産があったとしても、4,800万円以下であれば相続税はかかりません。

1-2. 受取人を指定できる

生命保険が相続対策として利用される理由は、死亡保険金の受取人を自由に指定できるという点にもあります。
生命保険から支払われる死亡保険金は、遺産分割の対象外となります。そのため、万が一遺産相続争いが起きたとしても、死亡保険金については、指定した保険金受取人に確実に残すことができます。
また、生命保険の保険金受取人は1名に限らず、複数名指定することや、受取人それぞれが受け取る保険金の額を指定することも可能です。

1-3. 葬式費用に活用できる

生命保険のなかでも一時払終身保険(加入時に一括で保険料を支払っておく保険)は、亡くなったあとすぐに死亡保険金を受け取ることができるため、死亡保険金を葬式費用に活用できるという点にメリットがあります。
なお、遺産分割前の相続預金の払戻し制度も始まっていますが、まだ設立されたばかりの制度のため払い戻しを受ける手続きに一定の時間がかかり、金融機関ごとに必要書類も異なります。生命保険の支払いを受ける場合に必要な書類は「死亡診断書のコピーのみ」という保険会社も多く、面倒な手間がなく受け取れる点も生命保険のメリットといえるでしょう。

なお、被相続人の葬式にかかった費用については、相続税の対象となる財産総額から差し引くことができます。相続財産から控除できる葬式費用とは、火葬や埋葬、納骨にかかった費用、遺体や遺骨の回送にかかった費用、お通夜の費用、読経料などです。

1-4. 代償分割のための資金準備に活用できる

受取人を自由に指定できる生命保険は、代償分割のための資金準備にも活用できます。
代償分割とは、不動産などの現物分割が困難な財産を相続する際に、特定の相続人1人が財産を相続する代わりに、ほかの相続人に対して代償金として支払うという遺産分割の方法です。代償分割をすることで、不動産などの現物財産を売却することなくそのままの状態で残せるというメリットがありますが、現物財産を相続する相続人には代償金の支払能力が求められます。

例えば、親が所有していた時価(実勢価格)3,000万円の不動産を2人の兄弟で代償分割する場合、現物財産を相続するのが兄、代償金を受け取るのが弟であれば、あらかじめ親が被保険者となる形で死亡保険金1,500万円の生命保険契約をし、受取人を兄としておくことで、兄は受け取った死亡保険金をそのまま弟に代償金として支払うことができるため、遺産分割手続きがスムーズに進みます。

1-5. 納税資金に活用できる

相続対策として考えておくべきは、節税だけではありません。相続によって相続税がかかる場合、相続税は相続開始から10カ月以内に支払う必要があり、現金の一括納付が原則となっています。そのため、相続税の支払いが必要になる場合には、どうやって納税資金を確保するかについても検討しておくことが大切です。

生命保険を活用して納税資金を確保するには、暦年贈与を活用します。生前贈与で親から年間110万円以内の現金を受け取り、そのお金で子供が生命保険に加入します。契約者が子供、被保険者が親、保険受取人は子供という契約形態であれば、親が亡くなった後受け取った死亡保険金を相続税の納税資金に充てることができます。
ただし、上記の契約形態の場合、受け取った死亡保険金に相続税はかからないため、相続税の非課税枠は適用できなくなります。また、上記以外の契約形態では死亡保険金を納税資金に充てることはできないため、契約形態を間違えないように注意しましょう。

1-6. 相続放棄しても受け取れる

生命保険の死亡保険金は、受取人の固有財産として扱われるため、相続放棄をしても受け取れるという特徴があり、このことも生命保険が相続対策として選ばれる理由のひとつとなっています。
ただし、この場合に死亡保険金を受け取るためには、生命保険の受取人に相続放棄をした相続人個人が指定されているか、または受取人が法定相続人であることが約款などで定められている場合に限ります。

2. 相続対策に適した保険の商品は?

生命保険は相続対策として有効な商品ですが、保険であればどんなものでも相続対策になるかといえば、そうではありません。
相続対策を検討するにあたっては、相続対策に適した保険商品の種類を把握しておきましょう。

2-1. 相続対策に適した保険

  • 終身保険
  • 長期定期保険
  • 一時払終身保険
  • 個人年金保険

相続対策として保険を選ぶなら、何歳まで長生きしても死亡保険金が受け取れる「終身保険」や、80歳以上や90歳を過ぎても保障が続く「長期定期保険」を選びましょう。また、「一時払終身保険」は被相続人が亡くなったあとすぐに死亡保険金を受け取ることができ、葬式費用に充てることができます。
「個人年金保険」は、高齢になり一般の生命保険に加入できない場合でも、個人年金保険であれば加入できるというメリットがあり、死亡保険金が受け取れるため、相続対策に活用できます。

2-2. 相続対策に適していない保険

  • 医療保険
  • 学資保険
  • 養老保険

入院費や手術費など、治療や療養にかかる費用の一部を負担してくれる「医療保険」は、例えば対象期間の保険料を一括で前払いすることで、相続の対象となる財産を減らせる可能性はありますが、相続対策という意味では適した商品とはいえません。
また、「学資保険」や「養老保険」は、一定の保障期間を定めたうえで、満期になると死亡保険金と同額の満期保険金が受け取れるものですが、亡くなる前に契約者本人が満期保険金を受け取った場合、相続財産としては現金という扱いになるため、いつ始まるか分からない相続に向けた対策としては適していないでしょう。

3. 相続対策で生命保険を活用するときの注意点

生命保険は、その仕組みを正しく理解して活用することで、相続対策として有効な方法です。しかし、仮に相続税がかからなかったとしても、生命保険の契約形態によっては相続税以外の贈与税や所得税がかかるため、課せられる税金の種類が変わるというだけで、無税になるわけではありません。また、生命保険金等の非課税枠や相続税の基礎控除額を超える死亡保険金を受け取った場合には、相続税の支払いも必要です。

生命保険の契約形態ごとにかかる税金

さらに、生命保険は誰でも好きなときに契約できるというものではありません。被保険者の健康状態や年齢による審査があるため、相続対策を検討する世代の場合、年齢的に、希望の保険に入れないというケースもあるということを理解しておきましょう。

4. 生命保険以外の相続対策は?

相続対策として選ばれている方法は、生命保険だけではありません。ここからは、生命保険以外の相続対策について解説します。

4-1. 生前贈与を活用する

生前贈与とは、相続予定の財産を生前に贈与することで相続時点の保有財産を減らし、将来負担すべき相続税を抑えることができるという相続対策の方法です。
生前贈与による相続対策では、暦年贈与を活用します。
暦年贈与とは、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与する財産が110万円以下であれば贈与税がかからないという非課税制度です。
つまり、非課税枠の110万円以下で生前贈与をすれば、贈与税負担もかからず相続対策を行うことができます。
さらに、生前贈与は贈与する相手と財産を自由に選べるというメリットがあり、財産を所有する本人が生きているうちに直接財産を譲ることができるため、相続トラブルの発生リスクを抑えることができます。

4-2. 不動産を活用する

不動産に置き換えることで、評価額が引き下げられる

不動産の相続は、現金を相続するよりも相続税評価額を下げることができるため、節税メリットの高い相続対策といわれています。
不動産にかかる相続税は原則、路線価や固定資産税評価額をもとに相続税評価額が算出されるため、現金で相続する場合の7~8割程度に引き下がる傾向にあるのです。
不動産を活用した相続対策としては、自宅として居住する土地や建物などを相続するほか、現金で賃貸用不動産を購入したり、所有する土地にアパートやマンションなどの賃貸物件を建設して賃貸経営を行う方法があります。

4-3. 不動産小口化商品を活用する

相続対策としては、不動産小口化商品の活用もおすすめです。
不動産小口化商品とは、プロの目で選んだ将来価値の見込める不動産物件を運営事業者が購入し、1口数万円から100万円程度に小口化して販売することで、少額の資金から不動産購入ができるようにした商品です。任意組合型(現物出資)の不動産小口化商品であれば、現物不動産と同様に相続税評価の引き下げメリットがあり、また1口ずつ複数の相続人に分けることができるため、分けにくい現物不動産の相続で起こりがちな遺産分割トラブルの回避にもつながります。

弊社の不動産小口化商品「Vシェア」は、主に東京都心プライムエリアの不動産を小口化し、500万円(1口100万円・5口以上)から、ご購入いただけるようにした商品です。通常では、高額で手に入れることが難しい都心商業地のオフィスビルを個人で所有することができます。
また、都心の不動産は、市場価格と路線価の差が大きいため、不動産評価額が市場価格より、大幅に低くなる傾向にあります。この差を利用して相続対策ができるのです。口数単位で、複数の相続人に分割しやすいというメリットもあり、「Vシェア」は相続対策として多くのお客様にご活用いただいております。

相続税評価額の引き下げ

「Vシェア」についてより詳しくご覧になりたい方は、下記ページをご参照ください。

5. 最後に

今回は、なぜ相続対策として生命保険が活用されているのか、生命保険が相続対策になる理由や注意点について解説してきました。生命保険は相続対策として有効な商品ですが、なぜ相続税対策になるのかという仕組みを理解することで、より効果的な相続対策を行うことができます。
また、保険であればどんなものでも相続対策になるわけではなく、相続対策に適した保険とそうでない保険があり、また年齢や健康状態によっては加入できない保険もあるため、注意しておきましょう。
相続対策を検討する際は、生命保険だけでなく、不動産や不動産小口化商品の活用もぜひ検討してみてください。

  • 本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
  • 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。
  • 期待どおりの税務上の効果が得られない可能性があります。
  • 評価額は物件により異なります。
  • 税制改正、その他税務的取り扱いの変更により効果が変動する場合があります。
  • 相続税の圧縮効果を含めた税務の取り扱いについては、個別具体的な事情に応じて適用が異なる可能性がありますので、税理士等の専門家にご相談ください。
写真:萱谷 有香

監修者

萱谷 有香かやたに ゆか

叶税理士法人 東京事務所代表
税理士・上級相続カウンセラー

プロフィール
掲載記事

大学卒業後は、英会話教材を飛び込み営業により訪問販売しておりましたが、一生働ける仕事をしたいと思い税理士を目指しました。
不動産投資に特化した税理士事務所で働きながら、沢山の収益物件について税務と投資の面で多くの知識を得られたことを活かし、自分でも不動産投資を始めました。
現在では5棟の物件を保有しつつ、不動産投資家さんの気持ちがわかる税理士になるよう日々勉強し、色々な情報を集めています。
不動産投資専門の叶税理士法人https://tax.kanae-office.com/

生命保険を受け取ったら相続税はいくらかかる?【税理士監修】
不動産の換価分割で知っておきたい注意点【税理士監修】
贈与税が非課税になる条件とは?生前贈与で非課税枠を活用する方法【税理士監修】
相続税の計算方法を分かりやすく解説【税理士監修】
掲載記事一覧

相続対策の記事一覧に戻る