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タワーマンション購入事例別、相続税の税効果を解説【税理士執筆】

相続税 相続税の基礎知識

相続税の基礎知識
写真:萱谷 有香

記事執筆

萱谷 有香

叶税理士法人 東京事務所代表
税理士・上級相続カウンセラー

目次

最近は、都内のタワーマンションの売れ行きが好調のようで、不動産業者さんにお聞きしても「すぐに売れてしまう」と言われました。
なぜそんなに売れているのか聞いてみました。
東京23区では初めて転出が転入を上回ったことがニュースになりましたが、東京都や首都圏では転入超過が続いているそうです。
一方でマンションの供給は、コロナ危機で工事が滞っていたり、物流の混乱で資材が確保できないといった理由から減少が続いています。人口の流入に対してマンションの供給が不足している状況が一番の原因のようです。

1.タワーマンションを購入する理由

その方々がタワーマンションをご購入される理由はなんですか?とお聞きしたところ、次のような理由でした。

  1. 一人で暮らすため
  2. ご夫婦で暮らすため
  3. 2世帯で暮らすため
  4. 賃貸物件として第三者に貸すため

人それぞれ目的は違いますが、実は①~④のどれを選択されたとしても非常に相続税の税効果が高いことはご存じですか?
今の日本の税制上、「不動産」というのは最も相続税の税効果を発揮するのです。
しかも、割と短期間でできる対策なので、購入する「不動産」を間違わなければ相続人の方にとってもよいと考えています。

今回は実際に都内で販売されていたタワーマンションの1室(2億3,500万円)のお部屋を例に挙げて、その税効果をケースごとにお伝えします。

2.ケース①一人で暮らすため

もしあなたが2億3,500万円の現金を持っていたとします。
あなたが亡くなった場合、2億3,500万円の現金は相続財産となります。
その相続財産は相続税の評価額としては2億3,500万円になり、これが相続税の対象になります。

ではあなたが、2億3,500万円の現金を使って次のようなマンションを購入したとします。

  • 販売価格(時価)2億3,500万円
  • 路線価 170万円 
  • 土地面積 40㎡
  • 建物の固定資産税評価額 1億円

この状態であなたが亡くなった場合、時価2億3,500万円のマンションが相続財産となります。
相続財産がマンション(土地+建物)の場合、このマンションの相続税の評価額は2億3,500万円ではなくなります。
まず、マンションの土地の評価額は、路線価(円)×地積(㎡)で求められますので、あなたの土地は170万円×40㎡=6,800万円という評価額になり、これが相続税の対象になります。
一方、建物の方は固定資産税の納付書に記載されている固定資産税評価額がベースとなりますので建物の評価額は1億円となります。
つまり、建物と土地の評価額合計は1億円+6,800万円=1億6,800万円になるということです。
マンションと現金、どちらも価値は2億3,500万円ですが、相続税の評価額は(現金)2億3,500万円-(マンション) 1億6,800万円=6,700万円も下がり相続税の圧縮へとつながります。

相続税の圧縮

3.ケース②ご夫婦で暮らすため

ご夫婦で暮らすためにこのマンションをご購入される場合は、ケース①の税効果に加えてさらに相続税を減らせる可能性が高くなります。
その理由は、「小規模宅地等の特例」を使えるためです。
この特例を簡単に言うと、「自宅として住んでいた土地の評価額を80%オフしてあげます」という制度です。あなたが亡くなった後、配偶者の方がこのマンションを相続するだけで相続税評価額が下がるのです。
今回の2億3,500万円のマンション(土地評価額6,800万円)であれば80%オフして土地評価額が1,360万円になります。ケース①の税効果も含めて考えると、(現金)2億3,500万円-(土地) 1,360万円-(建物)1億円=1億2,140万円も相続税評価額を下げ、相続税の圧縮へとつながります。

相続税の圧縮

4.ケース③2世帯で暮らすため

2世帯同居のスタイルであったとしても、ケース②と同様の税効果があります。
あなたが亡くなった後、同居してくれていた子供がこのマンションを引き継いで住んでくれれば相続税評価額が下がり相続税の圧縮へとつながります。

5.ケース④賃貸物件として第三者に貸すため

ケース①~③は、持っていた現金2億3,500万円を自分たちの居住用のためのマンションに使い相続税評価額が下がりましたが、第三者に貸すために購入しても相続税評価額が下がります。
まず土地は、土地の評価額×(1-70%×30%)という計算になりますので、ケース①の土地の評価額6,800万円×(1-70%×30%)=5,372万円となります。
※70%は借地権割合、30%は借家権割合を意味しています。
一方、建物は建物の固定資産税評価額×(1-30%)という計算になりますので、ケース①の建物の固定資産税評価額1億円×(1-30%)=7,000万円となります。
つまり、土地と建物の評価額合計は5,372万円+7,000万円=1億2,372万円になるということです。
マンションと現金、どちらも価値は2億3,500万円ですが、第三者に貸すだけで相続税の評価額は(現金)2億3,500万円-(マンション) 1億2,372万円=1億1,128万円も下がり相続税の圧縮へとつながります。
このように第三者に貸すと評価額が下がるのは、第三者に使用されていることで自由に使えなくなるなど自由度が低くなるため少し評価額を下げてくれるのです。どれだけ評価額が下がるかは、借地権割合等の条件によって異なります。

相続税の圧縮

6.最後に

購入される理由を問わず、タワーマンションを購入すると相続税の税効果があるのは、相続税評価額と購入価額(時価)の開きが大きいためです。
タワーマンションを購入する場合、「時価が高く、評価額は低い物件」を所有することによって相続税を下げられる可能性が高いということです。しかし、この対策の前提は、タワーマンションの市場価値が「変わらない」ことです。マンションの価値が下落すれば、マンションを売っても、損をすることもあります。相続税は下がっても、財産の価値がそれ以上に減ってしまうと、本末転倒になりかねません。

また、この行為スキームを利用した過度な税効果が多発し、国税庁がチェックを強めています。相続直前にタワーマンションを購入し、直後に売却すると、否認される可能性が高くなります。相続税の税効果だけを目的としたタワーマンションの購入は、必ずしも得策だとは言い切れません。本来の目的(タワーマンションを賃貸する、自宅として住居とする)を見失うことなく税効果を考えることが重要です。

記事執筆:萱谷 有香(税理士)

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  • 本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
  • 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。
写真:萱谷 有香

記事執筆

萱谷 有香かやたに ゆか

叶税理士法人 東京事務所代表
税理士・上級相続カウンセラー

プロフィール
掲載記事

大学卒業後は、英会話教材を飛び込み営業により訪問販売しておりましたが、一生働ける仕事をしたいと思い税理士を目指しました。
不動産投資に特化した税理士事務所で働きながら、沢山の収益物件について税務と投資の面で多くの知識を得られたことを活かし、自分でも不動産投資を始めました。
現在では5棟の物件を保有しつつ、不動産投資家さんの気持ちがわかる税理士になるよう日々勉強し、色々な情報を集めています。
不動産投資専門の叶税理士法人https://tax.kanae-office.com/

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