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専門家5人が語る「争続」の種と解決方法:第3回

不動産鑑定士が解説 – 相続における不動産鑑定評価の重要性とは?

相続対策 不動産を活用した相続対策

不動産を活用した相続対策
写真:西原 崇

記事執筆

西原 崇

不動産鑑定士 / 株式会社 西原不動産鑑定 代表取締役
一般社団法人 東京都不動産相続センター 理事

目次

相続で揉めないための対策について解説する連載『専門家5人が語る「争続」の種と解決方法』。連載第3回の本記事では、不動産鑑定士の西原 崇氏に、土地や建物の相続税評価方法や不動産鑑定評価の重要性について解説いただきます。

1. 相続対策の場でも活躍する「不動産鑑定士」をご存知ですか?

みなさん、不動産鑑定士という資格をご存じですか?
不動産鑑定士に、会われたことはありますか?
おそらく100人中99人位の方にとっては、馴染みがない資格だと思います。

弁護士さんや税理士さんは、知名度の高い資格として昔から多くの方に知られている一方、不動産鑑定士は、知らない方が多く名前も聞いたことがないというほど、知られていません。税理士は全国に7万人以上いますが、不動産鑑定士は約8,000人しかいません。

みなさんは毎年公示価格が発表されているのをご存じですか?
テレビや新聞などで
「今年の地価公示価格が発表されました。全国で最も地価が高いのは、銀座の〇〇でした。 」 「今年の地価は、東京では○%上がりました。」
「コロナ禍のため、繁華街の地価が〇%下がりました」
このようなニュースを聞いたことがあるかと思います。

公示価格とは、国土交通省が発表している、1月1日時点の地価です。
実はこの公示価格は、不動産鑑定士の鑑定の結果に基づき、公表されているのです。
私は、不動産鑑定士のことを知らない方に説明をするときには、まずこの仕事をお話しします。そうすると、大体みなさんにわかっていただけます。

不動産鑑定士の仕事は、不動産の価値を判定し、不動産鑑定評価書を発行することです。
不動産鑑定評価書とは、不動産鑑定士が不動産の適正な価格や賃料を評価した文書です。
地域の分析や、鑑定を行う不動産の分析を行い、いろいろなアプローチで評価を行います。ページ数は20ページ以上、大作になると30~40ページ以上になるものもあります。

所有者や購入者のどちらにも偏らず、中立の第三者の立場から、不動産の鑑定評価を行います。
国や都道府県が新しく道路を造る際には、不動産鑑定士の鑑定評価の結果に基づいて、道路用地の買収が行われます。

裁判で、不動産鑑定士の鑑定評価書が、有力な判断材料として活用されることもあります。

例えば、あるビルに入居しているテナントが、
「このビルの家賃は高過ぎる。値下げをしてほしい。」と、ビルのオーナーに要求したとします。

しかし、ビルのオーナーは、
「いや、この賃料は適正だ。値下げには応じられない。」
と、突っぱねてしまいました。

話し合いが不調に終わり、最終的には裁判に。
そんなとき、不動産鑑定士が、適正な賃料の鑑定評価書を作成することがあります。

金融機関が不動産を担保に融資をするときに
「どこまで融資をしてよいのか?」
という判断材料として、不動産鑑定士の鑑定評価書が活用されることもあります。

また、個人の方の相続対策で、不動産鑑定士がお役に立てることもあります。

2. 相続税の申告をする際の、土地の評価方法

相続税の申告をする際の「土地の評価方法(相続税評価額)」についてお話しさせていただきます。

土地の相続税評価は、路線価がある地域では、路線価を使用して行います。

相続した土地の評価は、時価で評価するのが原則です。
しかし、すべての土地の時価を計算するのは大変です。

そこで、道路に土地1㎡当たりの価格が表示されています。これを「路線価」といいます。
1㎡当たりの価格に、土地の面積をかけて、相続した土地の評価額とすることになっているのです。

路線価は、すぐに知ることができます。インターネットで、「路線価」と検索してみてください。すると、国税庁のHPの「路線価図」が出てきます。

例えば、「200」という数字が書かれている場合、その道路に接する宅地は、1 ㎡当たり20万円を使って計算します。
価格が高くなる要素や、安くなる要素がなければ、このまま1㎡当たり20万円が使われます。100㎡の土地は、2,000万円となります。

しかし、実際に売れる価格は、路線価で評価した価格とは異なります。
「路線価」は、毎年発表される1月1日時点の「公示価格」の、80%の水準に設定されています。
このため、路線価による評価額が2,000万円の土地は、通常であれば、実際には2,500万円で売れると思われますが、条件が悪い土地の場合は、2,000万円よりも安くなるときもあります。

そのため、例えば長男が路線価による評価額2,000万円の土地、次男が2,000万円の現金という相続をした場合、一見公平に見えても、実はどちらかが損をしている可能性があるのです。

3. 相続税の申告をする際の、建物の評価方法

続いて、「建物の評価方法(相続税評価額)」についてご説明します。
自宅を相続したときは、自宅の建物を評価する必要があります。自宅以外に、相続した建物がある場合も同じです。

毎年5月に、役所から郵送されてくる「固定資産税納税通知書」には、土地と建物の固定資産税評価額が記載されています。
「固定資産税」とは、土地や建物を所有している人にかかる税金です。

相続税の申告では、建物の評価は、固定資産税評価額をそのまま使用します。
ただし、賃貸されている建物の場合は、30%減額ができます。
賃貸されている物件は、借り手がいた場合、「すぐに出て行ってください」とお願いすることが難しいため、30%減額ができることになっています。

ところで、役所が「固定資産税評価額」を算定するにあたっては、そのスタートとなる建築費が、実際の建築費の60%くらいで考えられています。

そして、築年数が古くなると、固定資産税評価額はだんだん安くなっていきます。このため、例えば5年前に3,000万円で建てた建物の場合、固定資産税評価額は1,200万円~1,500万円程度になります。

しかし、実際に売れる価格は、もっと高い場合があります。
逆に、かなり築年数が古くて値段が付かない建物の場合でも、固定資産税評価額はそれなりの価格となっている場合もあります。

そのため、長男が固定資産税評価額1,000万円の建物、次男が1,000万円の現金という相続をした場合も、実はどちらかが損をしている可能性があるのです。

4. 不動産鑑定評価書で、相続税評価額を下げられる場合も

不動産鑑定士は、不動産の価値を判定し、所有者や購入者のどちらにも偏らない、中立の第三者の立場から不動産の鑑定評価を行います。
相続税がかかるような、多額の不動産を相続した方については、不動産鑑定士の鑑定評価書を税務署に提出することで、相続税を安くできることがあります。

相続税法では、「相続した財産の価額=時価」であるとされています。
現金や預貯金は、その金額がそのまま、財産の価額となります。一方、土地や建物などの不動産の場合は「相続税評価額」が財産の価額となります。

実は路線価は、毎年発表される1月1日時点の「公示価格」の水準よりも、安く設定されており、公示価格の80%の価格となっています。このため、土地の相続税評価額は、実は時価よりも20%程度安く評価できるのです。

時価 > 路線価による評価(公示価格の80%)

しかし、かなりの高低差がある土地や、形が相当悪いなど、条件が悪い土地は、下記のようになってしまいます。

時価 < 路線価による評価(公示価格の80%)

路線価による評価額が、時価よりも高くなってしまう場合、不動産鑑定評価書を税務署に提出すれば、評価額を安くすることができます。これにより、相続税を大きく節税できる場合があります。

また、建物の相続税評価額は、固定資産税評価額に基づき評価されますが、場合によっては不動産鑑定評価書を税務所に提出することにより、相続税評価額を下げられることもあります。

5. まとめ

相続した不動産は、実際にはいくらで売れるかを把握することが大切です。必要に応じて、不動産鑑定士の鑑定をおすすめします。
生前の段階でご検討頂けると、より多くの対策ができますので、税務、法律、不動産の専門家がワンストップでサポートしているチームにご相談いただければと思います。

記事執筆:西原 崇(不動産鑑定士)

弊社の不動産小口化商品「Vシェア」は、個人単位ではなかなか購入することが難しい都心の商業地にある中規模オフィスビルを、共有持分として1口100万円単位・5口以上(最低口数は変更となる場合があります)から購入いただける商品です。J-REITのような有価証券と異なり、現物不動産とほぼ同様の扱いで資産保有することが可能です。1口単位で複数の子や孫へ贈与することもできるため、非課税限度額内での生前贈与としてもご活用いただけます。

また、「Vシェア」は現物不動産と同様、相続税の評価額を引き下げることが可能なため、相続税の負担を軽減しながら、次世代に資産を引き継ぐことが可能なため、相続対策としても多くご活用いただいています。ぜひご検討ください。

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  • 本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
  • 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。
  • 期待どおりの税務上の効果が得られない可能性があります。
  • 評価額は物件により異なります。
  • 税制改正、その他税務的取り扱いの変更により効果が変動する場合があります。
  • 相続税の圧縮効果を含めた税務の取り扱いについては、個別具体的な事情に応じて適用が異なる可能性がありますので、税理士等の専門家にご相談ください。
写真:西原 崇

記事執筆

西原 崇にしはら たかし

不動産鑑定士 / 株式会社 西原不動産鑑定 代表取締役
一般社団法人 東京都不動産相続センター 理事

プロフィール
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「相続した土地の節税をする専門家」です。「不動産鑑定評価書」の他、「広大地の意見書」「宅地転用不可の意見書」の作成を得意としております。4億円の相続税額の節税に成功した実績があります。5,000万円の相続税額を、0円にした実績もあります。生前の同族間売買や譲渡において、鑑定評価書をご用命頂き、多額の節税に成功した実績も多数あります。お客様へのご説明は、丁寧でわかりやすくさせていただくよう、心がけております。
一般社団法人 東京都不動産相続センターhttps://fudosan-sozoku.or.jp/

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