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専門家5人が語る「争続」の種と解決方法:第1回

建築士が解説 - 相続した不動産の活用と気をつけたいポイント

相続対策 不動産を活用した相続対策

不動産を活用した相続対策
写真:城和 信太郎

記事執筆

城和 信太郎

一級建築士 / 宅地建物取引士 / 不動産コンサルタント
一般社団法人 東京都不動産相続センター、GSRコンサルティング株式会社

目次

相続で揉めないための対策について解説する連載『専門家5人が語る「争続」の種と解決方法』。連載第1回の本記事では、一級建築士の城和 信太郎氏に、「分割対策・納税対策・節税対策」の観点で気をつけたい不動産活用のポイントについて解説いただきます。

1. 相続した不動産をどうするのか

1-1. 自身で利用する

こちらは、主にもともと住んでいる居住者の方が引き続き住む場合、また事業用として使用していた土地・建物について、会社を継ぐなどして引き続き使用していく場合などが当てはまります。
この場合、納税資金を工面する上で生活や経営が立ちいかなくなってしまうことがないよう、減税措置などが税制上用意されています。

1-2. 賃貸で利用する

相続した不動産がアパートなどの場合は、相続人がそのまま経営を続けていきます。
また今後、自身で使用しない土地に新たにアパート等を建設し、賃貸収入を得る方法も当てはまります。

1-3. 売却をする

相続したけれども、相続人にとって必要のなくなった土地・建物を売りに出す方法です。
こちらは、土地・建物を現金化することで、相続人が自分の相続分を分かりやすく相続することが可能です。

1-4. なにもしない

手続きが面倒などの理由で何もしないで放置している場合もあれば、条件が悪く、売ることができない場合なども当てはまります。
しかしながら、土地建物の放置は建物の劣化などで周辺環境のためによいことではありません。売却できないにしろ、それ以外の方法を探して、きちんと向き合っていく必要があります。
そういった場合、不動産のプロに相談して、その土地の需要を調査して、新しい土地の活用方法を見つけることが可能です。

2. 相続した不動産を活用する際の考え方

2-1. 相続した不動産の活用方法を考える

まず相続不動産についての活用方法を検証するためには、
相続財産全体(不動産・金融資産)の状況と相続人の感情面を合わせて考える必要があります。
それを考える上で3つの柱「分割対策納税対策節税対策」の切り口で考えてみましょう。

①「分割対策」とは、資産をどのように分割させるかです

現金のように平等にわかりやすく分割できる財産もありますが、不動産は簡単に分けることができません。共有するという考えもありますが、共有してしまうと、今後、何かその不動産のことを決める際にすべての共有者の意思を統一する必要があり、不便なことにもなりかねません。
では売却して現金に変えればよいということも、不動産への思い入れの面から難しい場合もあります。

②「納税対策」とは、納税資金をどのように準備するかです

現金を相続した場合であれば、相続したお金のうちから相続税を支払えばよいのですが、不動産を相続した場合は、その一部を税金に充てることはできません。
もともと持っている預貯金や相続した現金との兼ね合いもあります。
そのあたりも考えながら、相続した不動産の活用方法を考えていく必要があります。

③「節税対策」とは、節税と収益性をどのように最大させるかです

相続税を節税する方法はいくつかあります。それを実現する方法のひとつとして現金やローンを使って不動産を購入する「資産の組み換え」があります。
資産を組み換えることで、相続税が大きく変わってくることがあります。

それぞれの対策を考える上で最も大切なのは「相続人それぞれのお気持ち」です。
感情面を考慮しながら最善の方法を選択していく必要があります。

例えば、分割対策では、より平等に分割させるために不動産を売却し、現金で分けることが重要である場合もあれば、不動産に対する相続人の思い入れを大切にし、不動産を残しつつも他の相続人の納得のいく分割方法を考える場合もあります。
最終的に、相続人全員の納得のいく落としどころを見つけることが重要です。

2-2. 不動産活用の種類

1の段落で説明した、自身で利用する、賃貸で利用する、売却をする、なにもしない、に加え、相続する現金や新たに組んだローンで不動産を購入する方法があります。
これらの方法と相続人や被相続人の思いを取り入れて、活用方法を決めていくことになります。

2-3. 不動産活用は相続対策になるのか?

前述2-1で解説した相続対策の3つの柱のうちの「節税対策」について当てはまる部分を説明させていただきます。

まず、相続した不動産を自身で利用する場合には、先ほどお伝えしたとおり、住居に住み続けられるよう、また、事業を続けられるように考慮された減税の特例があります。
小規模宅地等の特例」というもので、一定の条件を満たした土地について、相続税評価を最大80%減額できる制度です。
こちらを利用すると、相続税評価額が大きく下がることがあります。

次に、現金やローンで新たに不動産を購入する方法(資産の組み換え)について説明させていただきます。
例えば、相続した土地に新たにアパートを建てた際、支払った現金のうち、建物の建築費の約50~60%に評価額が減り、相続税を節税することが可能です。
またローンという負債が加わることで、全体の相続税評価額を減らすことも可能です。

2-4. 不動産活用がスタートしてからの注意点

不動産は現金と違い、維持をしていく上で費用が発生します。
そのための資金も必要であることを計画した上で不動産の活用方法を考えていく必要があります。
また、アパートなどの経営をする場合、それを成り立たせるだけの需要がある場所であるかを見極めることも重要です。

なお、最近では不動産活用の新しい手段として不動産小口化商品というものがあります。
不動産小口化商品とは特定の不動産を1口100万円程度に小口化して、不動産の賃料収入や売却した際の利益を投資額に応じて分配するといった商品です。不動産を購入するには数千万円から数億円といった金額になってきますが、不動産小口化商品は少額から不動産を購入して所有者となることができ、不動産を所有していることによる評価額の圧縮効果も期待できるため、相続対策としても注目されています。

3. 事例紹介

ここで不動産活用による事例を1つ紹介いたします。

H様はご両親が亡くなり、先祖代々続く土地を相続されました。
相続された土地にはご両親が住んでいた家とH様が住んでいる家が建っており、土地の大きさは約300坪ほどあります。

以前は相続された自宅の土地以外にもいくつか土地を所有されていたのですが、相続税の納税をするためやむなく売却をしたとのお話です。H様は残ったご自宅の土地だけはなんとか残したいというお気持ちがあり、ご自身の相続が発生した際にはご両親の相続と同様に相続した土地も相続税を払うため売却するようになってしまうのか心配をしていました。またご自宅の土地が大きいため固定資産税も多くかかり、建物の修繕費など今後も負担がかかってくるのでどうにかしたいという思いがありました。

そこで、H様から財産全体の確認やお気持ちなどを詳しくヒアリングさせていただいたところ、H様には奥様とお子様が2人おり、子供たちにも平等に財産を残してあげたいというお気持ちがありました。

早速、財産全体の状況を確認したところ現預金は多くないものの不動産の価値が高く、相続税が発生する財産状況のため、不動産活用をして「分割対策・納税対策・節税対策」の検討、調査をさせていただきました。

不動産の調査をしたところでは、ご相談の不動産は駅から10分ほどの立地で、周りには住宅地や学校、スーパーなどがあり、生活のしやすい環境でした。近隣は戸建住宅が立ち並び、法律上大きなマンションは建てられない土地ではありましたが、3階建てまでの建物が建てられそうです。

そこで将来お子様達が相続をする際に分割がしやすいよう建物をいくつかに分けて建築ができるのか、建築後も安定的に収益を得ることができるのか、建築することによって不動産の評価額をどのくらい下げることができるのかなど細かくシミュレーションをしました。結果、H様には周りの環境にあわせてファミリー層が住めるような賃貸マンションと賃貸戸建の建築をご提案して不動産活用をすることとなりました。
建物の完成時には賃貸物件も満室となり、安定して収入も得ることができそうです。また敷地内にはあわせてご自宅も建て直し、引き続きご相続された土地に住むことができます。

今回、賃貸マンションと賃貸戸建ての建築をすることにより、将来、H様のご相続の際にはお子様達に分けやすくすることができ、不動産の評価額も下げることができました。また賃貸収入によって資産を減らさず土地や建物を維持していくこともできそうです。
H様からは土地を残しながらご自身の相続対策もすることができたと喜んでいただけました。

この事例から相続不動産の活用にあたっては、下記のポイントを押さえていただければと思います。

  1. 周辺のマーケット調査をしっかりと行い、長期間、安定的に収入が得られるような建物を計画する。
  2. 収支のバランスを考えて借り入れを行い、減税措置などの利用ができるような不動産活用を検討する。
  3. 将来の相続に備えて、偏った財産の分割とならないよう、受け継ぐ方のお気持ちも考える。

相続した不動産の活用はそれほど簡単ではありません。先祖から承継される大切な不動産、ぜひしっかりと活用方法を検討いただければと思います。

記事執筆:城和 信太郎(一級建築士)

弊社の不動産小口化商品「Vシェア」は、個人単位ではなかなか購入することが難しい都心の商業地にある中規模オフィスビルを、共有持分として1口100万円単位・5口以上(最低口数は変更となる場合があります)から購入いただける商品です。現物不動産とほぼ同様の扱いで資産保有することが可能で、1口単位で複数の子や孫へ贈与することもできるため、非課税限度額内での生前贈与としてもご活用いただいております。

都心にあるオフィスビルは、実勢価格と路線価の乖離が大きいことから、相続税評価を大きく引き下げられるというメリットがあります。「Vシェア」は都心プライムエリアの物件なので、相続税評価額の約80%程度評価を引き下げることが期待できます。相続税の負担を軽減しながら、次世代に資産を引き継がせることができるため、相続対策としても多くご利用いただいています。ぜひご検討ください。

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  • 本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
  • 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。
  • 期待どおりの税務上の効果が得られない可能性があります。
  • 評価額は物件により異なります。
  • 税制改正、その他税務的取り扱いの変更により効果が変動する場合があります。
  • 相続税の圧縮効果を含めた税務の取り扱いについては、個別具体的な事情に応じて適用が異なる可能性がありますので、税理士等の専門家にご相談ください。
写真:城和 信太郎

記事執筆

城和 信太郎しろわ しんたろう

一級建築士 / 宅地建物取引士 / 不動産コンサルタント
一般社団法人 東京都不動産相続センター、GSRコンサルティング株式会社

プロフィール
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建設会社で戸建て、マンション、アパートのリノベーションや賃貸管理業務に15年従事しました。その後、不動産コンサルティング会社で戸建て住宅、事業用開発用地、物流施設等、幅広い売買仲介取引を経験させて頂きました。現在は、一級建築士の資格を活かし、不動産や建築に強い相続コンサルタントとして300件以上の相続相談対応を行なっています。これまで携わってきた経験を活かして不動産、建築の両面からお客様へご提案をさせて頂きます。
一般社団法人 東京都不動産相続センターhttps://fudosan-sozoku.or.jp/

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