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親からの相続で知っておきたい対策のポイント:第3回

数よりも質。収益があがる不動産が財産となる - 持っているだけでは財産ではない

相続対策

写真:曽根 惠子

記事執筆

曽根 惠子

株式会社夢相続 代表取締役
一般社団法人 相続実務協会 代表理事

目次

相続を受ける側である子供が知っておくべき相続対策のポイントについて解説する連載『親からの相続で知っておきたい対策のポイント ~相続対策は“残す・貯める”から“資産活用”へ~』。連載第3回の本記事では、「財産となる不動産」についてお話します。

代々の土地持ち資産家も楽ではない!代々の土地を相続したHさん

兼業農家のHさんは4人きょうだいの長男で、跡取りとして祖父母と同居して生活してきました。Hさんで10代目となり、多くの農地を保有する農家でした。Hさんは30代で会社を辞めて家の賃貸業に専念することになったのです。区画整理されて面積が半分近く減ったとはいえ、H家の土地は宅地だけでも3,000坪以上もあり、地域でも有数の地主さんでした。

固定資産税が多額

父親の資産総額は約30億円。相続税の節税対策として駅に近い土地には20億円借りてマンションを建てましたが、まだ大半は空き地や駐車場で、相続税も数億円かかると想定されました。年間の固定資産税だけでも1,000万円は超えていました。
父親と自分の所得税も千万単位。資産管理の法人を作り、自分が社長となり、運営していますので、法人税もかかります。毎月、毎月、固定資産税、所得税、法人税、住民税、事業税、などなど、税金の支払いとその資金繰りに苦労してきたといいます。賃料も入りますが、返済もあり、それも気苦労の元でした。

財産があっても幸せではない?

Hさん夫婦は、資産管理会社の役員ながら、保有するマンションの清掃は自分たちでされていました。夫婦で建物周辺や廊下、ごみ置き場など共有部分の清掃をするのが日課でした。退去した部屋も、自分たちでリフォーム手配をしてクリーニングもします。10棟のマンションやアパートの見回りが日常業務でしたので、休みはなかったといいます。
これだけ努力して財産の維持をしても、父親が亡くなったときに相続税が3億円かかり、母親の特例を活かしても納税が1億円以上。空き地とアパートを売却して納税しました。きょうだいへの遺産分割にも現金が必要でしたので、別の土地の必要。土地があっても苦労は絶えなかったといいます。
Hさんは資産家の跡取りとして立派だといえますが、多くを維持していくことが幸せかと考えさせられることが多くあります。

数多く持つよりも選別する時代

土地は持っているだけで収益がなければ、固定資産税や維持費がかかるばかりで持ち出しとなり、資産とはいえない状態です。駐車場に利用しているといっても相続税の節税効果はありません。
今までは多くの土地を保有することが資産家の証であり、財産でしたが、固定資産税や維持費を考えると、これからは、収益力のある土地が財産であり、収益力がない土地は不良資産となりかねません。数よりも質にこだわって、選別していく時代になりました。

土地を減らして優良資産へ

多くの土地や大きな土地を保有する場合、そのままでは節税対策はできません。土地の一部は売却して、売却代金で建物を建てたり、賃貸マンションを購入したりし、収益を上げられる不動産に組替していくことで節税になるのです。
今までの節税対策の主流となっていたのは、所有地に借入で賃貸アパートを建てることでした。そのため至る所にアパート、マンションができてしまい、駅から遠く買い物に不便なところや老朽化した建物など条件の悪いところは空室となっていきます。こうなると売却して楽に賃貸事業ができる不動産を購入していく方が賢明です。たとえば、古アパートを保有しているが、賃料が安く、収益が上がらなくなった場合は、売却して、駅近郊の賃貸物件を購入することで、収益も改善されます。

所有地の立地を替えるために買い替え

保有している土地が賃貸事業に適していないこともあります。賃貸するのであれば、最寄り駅からの距離が徒歩10分程度であることが第一条件です。周辺の住環境なども重要になりますが、所有地だけにそうした条件は今から選べません。適さないとわかれば、その土地を売却して、別の立地で賃貸事業をするようにします。
たとえば、年間収入250万円の古いアパートを1億円で売却し、家賃が10万円の賃貸マンションを4つ購入すると、年間収入は480万円となり、約2倍近い収入が得られます。また駅に近く、資産になる不動産に替えられるのです。

【事例1】貸宅地を売却。母親の二次相談対策ができたUさん

Uさん(50代男性)の父親は地主で、祖父から多くの土地を相続しました。父親が亡くなったときは配偶者の特例を生かして納税の負担は少なかったのですが、母親が多くの土地を相続した結果、二次相続が不安です。
母の財産は現在、自宅、賃貸マンション、駐車場、貸宅地、金融資産、生命保険があり、相続税の納税が必要になります。
賃貸マンションや駐車場は収益性が高くてよいのですが、貸宅地については地代収入と固定資産税・都市計画税の支出を比較すると収益性も低く、自由に使うことが出来ません。
貸宅地は利用価値が低いため、早めに売却する提案をしました。貸宅地の売却先は借地人が第一候補ですので、生前ながら、借地権者に事情を説明すると、ぜひ購入したいという意向があり、双方の納得できる評価額で売却することができました。
貸宅地が売却できたことで代わりに家賃収入が得られる賃貸物件を購入し、生命保険金にも加入して母親の二次相続の節税対策ができましたのでUさんは安堵されました。

【事例2】不良資産を売却、築浅物件に買い替えて一安心できたDさん

Dさん(60代男性)の父親は、定年後に本格的に賃貸事業を始めました。投資額を抑えるために競売により収益物件を購入し、財産を増やしていくことが楽しみだったようです。その父親が亡くなり、相続手続きが必要となりました。相続人は母親とDさんと弟です。
Dさんと弟ではじめて父親の財産を確認すると、築40年ほどになる木造共同住宅や、建築制限があり建物が建たない土地、家賃の滞納が多いアパート、賃貸借契約書が物件など、どれも難があり、しかも地域も離れているものもあり、驚くばかりだったようです。Dさん兄弟にしてみれば、大規模改修やリフォームのために、今後の大幅な出費がかかり、収益が上がらないのに固定資産税はかかるなど、そのまま保有して賃貸経営を継続していくことは不安ばかりでした。
そこで、何も対策をしてこなかった父親のときのようにならないように、母親と相談して、古い物件のすべてを売却し、買い替えをするように提案しました。幸いなことに全物件を売却することができ、立地のよい都市圏の築浅の物件に買い替えることができたのです。
これで母親の二次相続では相続税の負担も減り、苦労なく引き継げるめどがつき、Dさん兄弟はようやくひと息つかれました。

親の相続対策を進めるためのチェックポイント【土地】

  • 親に先代から相続した財産がある
  • 親が自宅以外の不動産を持っている
  • 親に賃貸事業など収入がある
  • 親は先代の相続税を払っていた
  • 親の保有する不動産が活用しきれていない

相続実務士のアドバイス【土地】

  • 土地を多く持ち続けていくことは税金や経費の負担も多く、維持するには相当な負担が発生する
  • 不動産は多く持つことがいいのではなく、効率よい持ち方が必要。量より質といえる

記事執筆:曽根 惠子(相続実務士®/株式会社夢相続 代表取締役)

弊社の不動産小口化商品「Vシェア」は、個人単位ではなかなか購入することが難しい都心の商業地にある中規模オフィスビルを、共有持分として500万円(1口100万円単位・5口以上)から購入いただける商品です。現物不動産とほぼ同様の扱いで資産保有することが可能で、1口単位で複数の子や孫へ贈与することもできるため、非課税限度額内での生前贈与としてもご活用いただいております。

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連載コラム

  • 本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
  • 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。
  • 期待どおりの税務上の効果が得られない可能性があります。
  • 評価額は物件により異なります。
  • 税制改正、その他税務的取り扱いの変更により効果が変動する場合があります。
  • 相続税の圧縮効果を含めた税務の取り扱いについては、個別具体的な事情に応じて適用が異なる可能性がありますので、税理士等の専門家にご相談ください。
写真:曽根 惠子

記事執筆

曽根 惠子そね けいこ

株式会社夢相続 代表取締役
一般社団法人 相続実務協会 代表理事

プロフィール
掲載記事

【相続実務士®】の創始者として1万4700件の相談に対処。
相続対策の提案、サポートをする夢相続を運営。感情面、経済面に配慮した“相続プラン"を作り、「家族の絆と財産を守る“ほほえみ相続”」の実務も提供。相続実務士®も養成している。
著書61冊・累計53万部、TV・ラジオ出演123回、新聞・雑誌取材677回、セミナー実績560回など、多数。
株式会社夢相続https://www.yume-souzoku.co.jp/

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