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親からの相続で知っておきたい対策のポイント:第2回

持ち続けることが財産とならない - 土地を守ることが財産を減らすことにもなる

相続対策 不動産を活用した相続対策

不動産を活用した相続対策
写真:曽根 惠子

記事執筆

曽根 惠子

株式会社夢相続 代表取締役
一般社団法人 相続実務協会 代表理事

目次

相続を受ける側である子供が知っておくべき相続対策のポイントについて解説する連載『親からの相続で知っておきたい対策のポイント ~相続対策は“残す・貯める”から“資産活用”へ~』。連載第2回の本記事では、土地の活用についてお話します。

土地を持ち続けることが財産とならない

かつて「土地は持っているだけで値上がりする財産」という時代があり、「土地神話」といわれて財産の代表格でした。ところが、経済状況が大きく変わった今では、その土地からの収益がなければ、持っているだけでは固定資産税や維持費がかかり持ち出しとなります。もはや、財産とはいえない状態で、負担となりかねないリスクをかかえています。
このように以前とは大きく状況が変わっているのに、土地を持っている親世代では土地を手放す決断ができないことが多いのが現状です。そのため、資産維持や相続対策を考えるとき、子供世代が長期的な視点や経済的な効果を試算して判断をする必要があります。親の決断を待つよりも、子供が親を説得するようにしなければ対策が進まないでしょう。

土地を維持するためにお金をつぎこんでいる

相談に来られたTさんは、自宅のほかに8世帯のアパートと200坪の空き地を保有しておられました。200坪の土地は更地で購入してから30年間、アパートやマンションを建てることもなく、駐車場にすることもなく、ただ更地で持っている状態で、固定資産税がかかるばかり。その土地の固定資産税は年間180万円でアパートの家賃収入のほとんどが固定資産税の納付に充てられています。購入価格も含めると1億円ほどもつぎ込んでいるわけですが、とても生産性があるとはいえない状況です。維持するため、固定資産税などに現金をどんどんつぎ込んでしまって、その結果「土地はあるが、お金がなく納税できない」という問題が生じるのです。

不動産も買い替える時代

先代から相続した不動産はずっとそのまま維持することが引き継いだ立場の役割だと思っている方が非常に多いのですが、土地や建物にも役割や寿命があります。活用されずに持ち続けても財産の価値を活かしきれないため、活用したい人に売却することが現実的です。また、そのときに必要な目的に合わせて不動産も買い替えていくことが望ましいといえます。
不動産は持っているだけでは固定資産税などの維持費だけでもマイナス財産となります。自分で活用できない不動産は活用できる人に売却し、必要な不動産に買い替えていく時代になりました。

【事例1】200坪の家に母親が1人暮らし。維持費250万円。財産といえず!

母親の賃貸事業がうまくいかないので、テコ入れしたいと、Kさんと夫が相談に来られました。母親は80代で1人暮らし、50代で独身の妹が母親の自宅の隣に家を建てて1人暮らしをしています。相談者のKさんは他県に嫁いで家族で住んでいます。
亡くなった父親はもと農家の長男で、親から多くの土地を相続しました。その後相続対策として、億単位の借入をして、2棟の賃貸マンションを建設しました。ところが、築年数が進み、サブリースの賃料が下げられ、リフォーム代がかかり、賃貸マンションの収支はマイナスになっています。このままでは不安があるため、対策をしたいというご相談です。

課題:賃貸マンションも自宅もマイナス

2棟の賃貸マンションはまだ億単位の借入が残っており返済はできても、固定資産税や修繕費、管理費などの経費を引くと、残らないどころか、マイナスの収支です。別の土地の賃貸料でなんとか補てんができている状態です。
自宅は土地が200坪もありますが、そこに母親が1人暮らし。固定資産税だけでなく、築40年のため、昨年は屋根などに修繕費がかかり、広い庭の手入れも必須で維持費に年間250万円かかります。今後も費用がかかり続けるのですが、自宅は収益がなく、長女も次女も家なき子ではないため、特例も使えません。貸宅地の賃貸料で賃貸マンションと自宅にかかる費用の持ち出しをカバーして、生活費を捻出している形になっています。

  • 提案1:広い敷地に1人暮らしは効率がよくないため、売却してバリアフリーでコンパクトなマンションに住み替えが現実的。あるいは、隣地の次女の家に同居も選択肢のひとつ。自宅の売却代金で手間がかからない賃貸物件を購入する。
  • 提案2:賃貸マンションを維持する場合は、賃料アップが必須のため、サブリース契約を解消して、普通管理で賃料の差額を確保する。ただし、賃料アップができたとしても築年数が経過していくため、満室維持が難しく、修繕費の支出も増えていくため、古くならないうちに売却し、新しいものに買い替えすることが優先順位が高い。

【事例2】駐車場運営では手元に残らない!土地活用が必須となる

Yさん(60代男性)は父親から相続した土地を駐車場にしています。周辺に観光名所あり、ハウスメーカーから「ゲストハウス」を建てるといいと勧められています。土地は250坪と広いため、3階の建物が建ち、建築費は4億円になるということです。運営については、専門業者があり借り受けてくれる条件です。会社をリタイヤして、現在は、再就職しているYさんにとっては金額が大きく、この提案を進めていいのか、判断してほしいと相談に来られました。

課題1:手元残りがなく、相続対策も必要

Yさんからお聞きすると、駐車場の土地固定資産税は年間120万円かかっていて、毎月15万円の駐車料があってもほとんど手元に残りません。
また駐車場のままでは節税効果がないため、Yさんの相続では相続税が1,500万円かかることも分かり、対策が必要ということは明白です。

課題2:分けづらい土地で、共有者が多い

土地は5人の共有となっています。Yさんと弟が48%ずつ、Yさんの妻が2%、息子2人が1%ずつと複雑。節税対策として妻や息子にも贈与しており、所有者が多くなっています。仲はいいので、現在は問題がないようですが、将来を見据えるといずれ共有解消をしておかなければなりません。
土地を分けることができればいいのですが、この駐車場は、入り口が狭く敷地の中で広がった地形で、ふたつにも分けられません。

  • 提案:土地活用に適さない地形であること、複雑な共有であることから、この土地を維持して土地活用はしないほうがよいことをアドバイスしました。共有解消をするためにも売却して、別の立地に賃貸物件を購入することをお勧めしました。
    土地活用をする場合は、賃貸事業の収支バランスが取れることが絶対条件になり、建築費が適正であることが求められます。建築会社の合い見積もりも取り、比較検討して選定していくようにし、建物が完成するまでのコンセプトや仕様など諸々のことに対してご自分で対処するのは簡単ではありません。
    ハウスメーカーの提案どおりに建ててしまい、収支が合わずに後悔したという事例もありますので、Yさんが相談に来られたことは正解です。

親の相続対策を進めるためのチェックポイント【土地】

  • 親の住む自宅の土地が100坪以上ある
  • 親は、不動産はあるがお金は少ない
  • 親は、先代から相続した土地を持ち続けている
  • 親は、不動産は売るものではないと思っている
  • 親はきょうだいで不動産を共有することがよいと思っている

相続実務士のアドバイス【土地】

  • 不動産を持ち続けることがリスクになることもあるため現状を確認する
  • 土地は活用して収益がないとマイナス財産となる
  • 不動産は持ち続けるのではなく必要なものに買い替えるようにする

記事執筆:曽根 惠子(相続実務士®/株式会社夢相続 代表取締役)

弊社の不動産小口化商品「Vシェア」は、個人単位ではなかなか購入することが難しい都心の商業地にある中規模オフィスビルを、共有持分として1口100万円単位・5口以上(最低口数は変更となる場合があります)から購入いただける商品です。現物不動産とほぼ同様の扱いで資産保有することが可能で、1口単位で複数の子や孫へ贈与することもできるため、非課税限度額内での生前贈与としてもご活用いただいております。

都心にあるオフィスビルは、実勢価格と路線価の乖離が大きいことから、相続税評価を大きく引き下げられるというメリットがあります。「Vシェア」は都心プライムエリアの物件なので、相続税評価額の約80%程度評価を引き下げることが期待できます。相続税の負担を軽減しながら、次世代に資産を引き継がせることができるため、相続対策としても多くご利用いただいています。ぜひご検討ください。

連載コラム

  • 本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
  • 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。
  • 期待どおりの税務上の効果が得られない可能性があります。
  • 評価額は物件により異なります。
  • 税制改正、その他税務的取り扱いの変更により効果が変動する場合があります。
  • 相続税の圧縮効果を含めた税務の取り扱いについては、個別具体的な事情に応じて適用が異なる可能性がありますので、税理士等の専門家にご相談ください。
写真:曽根 惠子

記事執筆

曽根 惠子そね けいこ

株式会社夢相続 代表取締役
一般社団法人 相続実務協会 代表理事

プロフィール
掲載記事

【相続実務士®】の創始者として1万4700件の相談に対処。
相続対策の提案、サポートをする夢相続を運営。感情面、経済面に配慮した“相続プラン"を作り、「家族の絆と財産を守る“ほほえみ相続”」の実務も提供。相続実務士®も養成している。
著書61冊・累計53万部、TV・ラジオ出演123回、新聞・雑誌取材677回、セミナー実績560回など、多数。
株式会社夢相続https://www.yume-souzoku.co.jp/

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