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不動産の遺産分割は難しい?方法や手続きを解説【税理士監修】

相続

写真:萱谷 有香

監修者

萱谷 有香

叶税理士法人 東京事務所代表
税理士・上級相続カウンセラー

目次

不動産の遺産分割は難しいという話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、不動産などの現物分割が困難な財産を相続する方法や、手続きにおける注意点を分かりやすく解説します。

1. 不動産は遺産分割で揉めやすい

遺産分割とは、被相続人の財産をどのように分けるのかを決めることです。遺産分割では、民法で定められた法定相続分を目安とするのが一般的ですが、相続人が全員話し合いに参加し、全員が納得した遺産の分け方であれば、どのような分け方であっても認められます。
しかし、家や土地などの不動産は、現物を分割して分けることができないため、遺産分割において最も揉めやすい財産だと言われています。また、不動産は相続財産の評価でも揉めやすく、路線価や固定資産税評価額から算定した相続税評価額や実勢価格(時価)を目安とすることもできますが、実際にその不動産にいくらの価値があるかは売却してみなければ分からないため、公平な遺産分割が難しいのです。

2. 遺産分割における不動産の評価方法

遺産分割において公平性を保つには、遺産分割時の実勢価格(時価)を基準とすることが多いです。遺産分割時の実勢価格(時価)を求める不動産の評価方法としては、以下の方法があげられます。

2-1. 固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、固定資産税を算定するときの基準となる不動産評価額のことで、各市町村(東京都23区の場合は都)によって決定されるものです。建物を相続する際の相続税評価額の算出には固定資産税評価額が使用されます。
固定資産税評価額は実勢価格(時価)の7割程度となるのが一般的なため、固定資産税評価額をベースに7割で割り戻すことで、実勢価格(時価)の目安を算出することができます。

2-2. 路線価

路線価とは、土地を相続する際の相続税評価額の算出に使用する財産評価基準のことで、国税庁ホームページで確認することができます。
路線価は、実勢価格(時価)の7~8割程度となるのが一般的なため、建物の評価方法と同様に、路線価をベースに7~8割で割り戻すことで、実勢価格(時価)の目安を算出することができます。

2-3. 不動産鑑定士に依頼

より正確な実勢価格(時価)が知りたいという場合は、不動産鑑定士に鑑定を依頼するという方法があります。国家資格を持った不動産鑑定士に不動産の価値を評価してもらった結果は信頼度が高く、公的な証明書としても使用することができます。
ただし、20万円~50万円ほどの鑑定費用と2~4週間程度の鑑定期間が必要となるため、依頼する場合は相続人同士でよく話し合い、合意のうえで依頼することが大切です。

2-4. 不動産会社に依頼

家や土地などの不動産を実際に売ったらいくらになるのかが知りたい場合は、不動産会社に不動産の査定を依頼することもできます。公的な証明書としては使用できませんが、不動産会社がいくらで売り出すのか、売り出し価格を実勢価格(時価)の目安とすることはできるでしょう。
不動産会社に査定を依頼する場合、料金はかかりません。ただし、依頼する不動産会社によって査定結果が異なる可能性もあるため、信頼できる不動産会社に依頼することが大切です。

3. 不動産を遺産分割する方法や必要な手続き

家や土地などの不動産を遺産分割する方法としては、以下の4つの方法があります。続いては、それぞれの遺産分割方法について、特徴や必要な手続きを紹介します。

3-1. 現物分割

現物分割とは、文字通り「現物のまま分ける」という遺産分割の方法です。
土地の場合、ひとつの土地を複数に区分けして登記する「分筆」という手続きを取ることで、現物分割が可能です。ただし、建物は分筆ができないため、相続財産が不動産のみの場合は現物分割が難しいケースも考えられます。
家や土地以外にも現金や有価証券などの相続財産がある場合は、相続人の1人が不動産を相続し、もう1人が現金と有価証券を相続するといった現物分割も可能ですが、どうしても不公平さが残るというデメリットがあります。
現物分割による遺産分割が成立した場合、現物分割の手続きはそれほど難しくありません。それぞれの相続人が、相続する現物財産を引き継ぎ、名義変更や登記変更の手続きを行いましょう。

3-2. 換価分割

換価分割とは、不動産の一部または全部を売却し、現金化したうえで分割するという方法です。対象となる不動産を相続人が必要としていない場合には、現金化してしまうことで分けやすくなり、不公平さは無くなるでしょう。
ただし、換価分割のために不動産を急いで売却するとなると、売却価格は下がる傾向にあります。また、不動産会社への仲介手数料や登記費用、司法書士に支払う報酬などの費用がかかるため、実際に受け取る金額が少なくなってしまう可能性が高いというデメリットもあります。
さらに、換価分割による遺産分割では、遺産分割協議書の作成や相続登記などの複雑な手続きが必要になるため注意が必要です。手続きに不安がある場合は、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

3-3. 代償分割

代償分割とは、相続人の1人が現物の不動産を取得し、取得した相続人がほかの相続人に対して代償金を支払うという遺産分割の方法で、家や土地などの不動産をそのまま残したいという場合に使われることが多いです。
代償分割は、支払われる代償金の額によっては公平性を保てる遺産分割の方法だといえます。さらに、不動産をそのまま残せるため、場合によっては小規模宅地等の特例を利用して相続税の税負担が軽減できる点もメリットといえるでしょう。
しかし、代償金の金額をいくらにするか、いつ支払うのかで揉めるケースも多く、不動産を取得した相続人にかかる資金面での負担が大きいというデメリットもあります。
代償分割による遺産分割が成立したら、遺産分割協議書を作成し、代償金の受け渡しを行いましょう。代償金も相続財産とみなされますので、相続税申告手続きが必要です。

3-4. 共有分割

共有分割とは、家や土地などの不動産の一部または全部について、複数の相続人で共同所有する方法です。相続人それぞれが平等な持分で不動産を保有することになるため、公平性の高い遺産分割の方法ではありますが、デメリットもあります。
不動産を共有分割した場合、例えば老朽化による改築や増築、売却や取り壊しを行う際には、共同所有者全員の合意が必要となります。また、時間が経過して共同所有者が亡くなったときは、その所有権は配偶者や子供などの相続人に移ることになります。つまり、時間が経過すればするほど、その不動産の共同所有者は増える可能性があり、その分、全員の合意を取るのが困難になっていくため、不動産を共有分割するかどうかは慎重に協議する必要があります。
共有分割による遺産分割が成立した場合は、遺産分割協議書の作成、名義変更登記などの手続きが必要です。

4. 不動産の遺産分割でよくある疑問

ここからは、不動産の遺産分割についてよくある疑問を紹介します。

A.

「遺産分割請求権」に時効はありません。そのため不動産の遺産分割協議が長い期間行われずにいたとしても、自動的に遺産分割が成立してしまうということはありません。
しかし、相続税の申告期限は「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内」と定められているため、実際は相続税の申告期限までに遺産分割を成立させる必要があります。

A.

最高裁判例によると、被相続人が亡くなった後の相続開始から、遺産分割が成立するまでの間に受けった賃料については、共同相続人が法定相続分の割合で取得することとされています。

A.

被相続人が亡くなっても、不動産に設定された抵当権が消滅することはありません。そのため、相続財産となる不動産に抵当権が設定されている場合には、抵当権の原因となる債権の状態を確認したうえで適切に対処する必要があります。

5. 最後に

現物分割が困難な不動産の遺産分割は非常に難しく、家や土地などの不動産は、遺産分割協議において最も揉めやすい相続財産として知られています。今回は不動産の遺産分割方法について紹介しましたが、分けにくい不動産は一旦現金化し、不動産小口化商品に換えて分割することで、評価を圧縮して相続することも可能です。

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写真:萱谷 有香

監修者

萱谷 有香かやたに ゆか

叶税理士法人 東京事務所代表
税理士・上級相続カウンセラー

プロフィール
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大学卒業後は、英会話教材を飛び込み営業により訪問販売しておりましたが、一生働ける仕事をしたいと思い税理士を目指しました。
不動産投資に特化した税理士事務所で働きながら、沢山の収益物件について税務と投資の面で多くの知識を得られたことを活かし、自分でも不動産投資を始めました。
現在では5棟の物件を保有しつつ、不動産投資家さんの気持ちがわかる税理士になるよう日々勉強し、色々な情報を集めています。
不動産投資専門の叶税理士法人https://tax.kanae-office.com/

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