生前贈与で不動産を贈与するメリットは?不動産を生前贈与する手続きや税金【税理士監修】

相続・贈与 生前贈与

目次

自分の所有する不動産を、将来的には子供や親族に財産として残したいとお考えの方の中には、不動産を生前贈与することで、税金や手続きにおいて相続よりもメリットがあるという話を耳にしたことがある人も少なくないのではないでしょうか。ここでは、不動産の生前贈与にはどのようなメリットがあるのか、生前贈与の具体的な手続きや費用について解説していきます。

1.不動産の生前贈与のメリットは?相続とどちらが得?

生前贈与とは、不動産などの財産を所有する方がご健在なうちに、その財産を誰か別の人に譲る行為のことをいい、相続とは、財産を所有する方が亡くなった後に、その財産を相続人となる方が引き継ぐことをいいます。不動産の生前贈与には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

1-1.税金面でのメリット・デメリット

まずは税金面でのメリットについてです。不動産の生前贈与における税金面でのメリットは、贈与税の基礎控除や各種特例を活用して贈与者がご健在なうちに不動産を贈与することで、亡くなった後に相続する財産にかかる相続税を減らすことができるという点にあります。相続時精算課税制度を活用したり、夫婦間の贈与で配偶者控除の適用を受けるなど、不動産を生前贈与する場合の特例が法律で定められていますので、ぜひ参考にしてみてください。

さらに、生前贈与は現金よりも不動産を贈与した方が、税金面においてメリットがあります。なぜなら、不動産における贈与税や相続税の金額は、課税対象となる不動産の「評価額」をもとに計算されるからです。評価額は、通常、一般的な不動産市場価格を下回ることになります。仮に評価額が市場価額の7割となる不動産の場合には、現金1億円の贈与や相続をした場合の課税対象額は1億円ですが、市場価格1億円の不動産を贈与・相続した場合の課税対象額は7,000万円、現金よりも不動産を贈与・相続した方が贈与税・相続税の金額を抑えることができるのです。

不動産を生前贈与するデメリットとしては、仮に贈与税が非課税限度額内で収まったとしても、贈与登記にかかる登録免許税や不動産取得税は支払わなければならないということ、さらに不動産の名義が受贈者に移ってからは、毎年の固定資産税や修繕費などの維持費など、受贈者の責任で支払っていかなければならない費用が発生するということがいえるでしょう。だからこそ、受贈者の意思確認を自分で行うことができる生前贈与を選ぶという人も少なくありません。

1-2.手続き上でのメリット・デメリット

不動産を生前贈与する手続きにおいて、最大のメリットは、所有する土地建物などを誰に譲るのかを贈与者本人が決めることができるという点です。

例えば、不動産所有者が農地を所有していたとします。自分の死後、農地の所有権は配偶者や子供ではなく、一緒に農業をやってきた弟に譲りたいと考えた場合、生前贈与であれば、自分が生きているうちに農地の名義を弟に変更する手続きができるため、確実に弟に農地を譲り、農業を継いでもらうことが可能です。

なお、相続の場合でも遺言を作成することで特定の人を決めて財産を渡すことは可能ですが、遺言は誤った書き方をしてしまうと無効になることがあります。また遺産分割になった場合、今回のケースでは配偶者と子供が相続人となるため、弟は相続人にはならず相続することできません。

手続きにおいてのデメリットは現金贈与では、受贈者の口座に振り込んで贈与契約書の整備をすれば完了ですが、不動産の場合には、まず不動産の評価額を算出する必要があり、また法務局への贈与登記手続きなどが必須になり手間が増えるというのがデメリットといえるでしょう。

2.不動産を生前贈与する際の手続きについて

不動産を生前贈与する場合の基本的な手続きは、次のとおりです。

  1. 贈与契約書の作成(贈与する不動産の情報や金額、贈与者の情報、受贈者の情報を記す)
  2. 不動産の名義変更(法務局での所有権移転登記)
  3. 贈与税申告(暦年贈与の額が110万円以上の場合、相続時精算課税制度を選択する場合)

原則、贈与は口頭契約でも成立するため、生前贈与の際に贈与契約書が必ず必要というわけではありません。しかし、不動産の生前贈与を行う場合は、不動産の名義変更手続き(所有権移転登記)が必要になるため、贈与契約書は必ず必要になります。つまり、不動産の生前贈与は贈与者の一方的な意志だけで行うことはできず、受贈者の同意が必ず必要だということです。

所有する不動産を一括贈与せずに、暦年贈与による非課税範囲内に収まる持分割合で数年に分けて贈与するという場合も、贈与した持分に対する名義変更の登記手続きがその都度必要になるため、贈与契約書が必要です。当然、その都度、登録免許税も支払わなければいけません。

3.不動産を生前贈与するときにかかる費用は?

不動産を生前贈与する場合、すでにご説明した登録免許税と不動産取得税、基礎控除額を超えた財産に課税される贈与税など、様々な費用がかかります。ここで詳しく解説してきましょう。

3-1.①登録免許税

登録免許税とは、不動産を生前贈与した後、不動産の名義変更手続きにおいて必要になる税金です。不動産の名義変更には、所有権移転登記という手続きが必要になります。所有権移転登記にかかる登録免許税の税率は、生前贈与する不動産の固定資産税評価額の2.0%です。不動産の名義変更に必要な登録免許税は、贈与者、受贈者どちらが支払っても問題ありません。

出典:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

3-2.②不動産取得税

不動産取得税とは、不動産を贈与される側に課せられる税金です。暦年贈与や相続時精算課税制度を選択し、仮に贈与税がかからなかったとしても、不動産取得税は課税の対象となります。平成20年 4月 1日から令和3年 3月31日までの間に取得した土地・建物(住宅)の場合、不動産取得税の税率は生前贈与する不動産の固定資産税評価額(土地については固定資産税評価額に1/2乗じた額)の3.0%、住宅以外の建物の場合は4.0%です。

3-3.③贈与税

暦年贈与や相続時精算課税制度などの特例を選択した場合でも、非課税枠を超えた分の財産に対しては、贈与税が課せられます。不動産の生前贈与にかかる贈与税の計算方法や贈与税がかからない特例制度、その注意点については事前によく確認するようにしましょう。

3-4.④司法書士や税理士に支払う報酬

不動産を生前贈与する際に、贈与する不動産の名義変更手続き(所有権移転登記)や贈与税申告の手続きが必要だということはすでにご説明いたしました。これらの手続きをご自身(贈与者または受贈者)が行う場合、特に費用はかかりませんが、複雑な手続きを個人で行うのはなかなか難しいため、専門家に依頼する方も少なくありません。

その場合、不動産の名義変更手続きについては司法書士へ、贈与税の申告や相続時精算課税制度などの特例を活用した場合に行う手続きについては、税理士に依頼することになります。司法書士や税理士に依頼した場合は、当然報酬の支払いが必要になります。

不動産の生前贈与にはこれらの費用がかかるということを念頭に置き、所有する不動産を誰かに譲りたいと考えたときは、ご自身のケースにおいて、生前贈与と相続でどちらが得なのかをよく検討されることをおすすめします。
不動産の相続における税金の計算方法や相続税の軽減制度、その注意点についてはこちらをご確認ください。

4.最後に

今回は、生前贈与で不動産を贈与するメリットについて、税金面でのメリット・デメリットや手続きの方法、費用について解説してきました。所有するひとつの不動産を複数の受贈者に小分けにして贈与する場合、複雑な贈与契約書を作成しなければならず、かつ毎年の名義変更手続きや贈与税申告の手続きに手間と費用がかかってしまいますよね。

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税務の取扱に関する監修

マックス総合税理士法人マックスソウゴウゼイリシホウジン

プロフィール
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渋谷本社、自由が丘オフィスを拠点に、東京都心及び、城南地区の地主や資産家に対し、『民事信託も活用した相続・相続対策、不動産の売買や贈与時の節税』といった資産税コンサルティングを手がける。
毎週末、不動産に関する税務相談会も行っており、ただの税務理論だけでなく、不動産の現場にも精通する知識と経験を備えている。
マックス総合税理士法人http://www.max-gtax.com/

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