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【税理士監修】孫への生前贈与のやり方!110万円以下や教育資金なら非課税?注意点も

生前贈与

税務の取扱に関する監修

マックス総合税理士法人

目次

生前贈与をしようとネット情報や人に聞いたりして調べてみると、孫に向けた生前贈与には贈与税・相続税などの税制上のメリットがあるという情報を目にすることがあると思います。実際のところ、祖父母から孫への贈与には様々な非課税制度が存在するため、非課税制度を上手に活用することで、何もしなかった場合の相続税よりも課税総額を抑えられる可能性があります。
この記事ではこの「孫への生前贈与」を行う際にどのようなメリットがあるのか、またその手続きはどうやるのか、さらには孫への贈与における注意点などについて解説していきます。

1. 生前贈与で孫に財産を残すメリット・デメリット

生前贈与で孫に財産を贈与しようとした場合の最大のメリットは、「1世代飛ばして財産を贈与できる」点にあります。
通常であれば、親の財産はその子供が相続し、さらに将来的には孫へと相続されていきます。この場合、親から子供への相続時に1回相続税が課税され、さらに子供から孫への相続時にも相続税が課税されることになります。
しかし、親から孫へ1世代飛ばして贈与することで、その贈与された財産は、子の死亡時の子から孫の相続対象にならないことになります。
相続税は相続する財産総額によって税率が10%から最高55%もの税金が課されてしまいます。この相続税を2回も課されてしまうと、元の財産から大幅に目減りしてしまうため、1回でも課税を回避できるメリットは相当のものであることがお分かりいただけるかと思います。

さらには孫への生前贈与の場合、被相続人の死後に発生する相続税への3年以内の生前贈与加算の適用を受けない、というメリットもあります。
贈与財産の加算とは、被相続人の死後、相続によって財産を取得する際に、その3年以内(被相続人が死亡した日から遡って3年前の日から死亡した日までの間)にすでに贈与を受けた財産があるときには、生前に贈与された財産であっても相続財産とみなされ、相続時の課税対象として加算するという制度です。この制度は受贈者が相続人でない場合、適用されません。そのため、孫への生前贈与では、贈与財産の加算制度の適用を受けることがなく、メリットとなるのです。

一方、生前贈与で孫に財産を贈与する場合のデメリットについては、例えば、まだお金の使い方を身に着ける前の年齢の孫に贈与してしまうと、無駄遣いされてしまう可能性があるなど管理の手間が増えてしまうこと、また一般的に相続税よりも贈与税の方が高い税率が設定されていることがあげられます。

2. 孫への生前贈与を非課税で行うやり方

続いて、生前贈与で孫に財産を非課税で贈与する具体的な方法について解説していきます。

2-1. 暦年贈与による孫への生前贈与

生前贈与では基本的に、1人の受贈者につき1年間(1月1日から12月31日)に110万円以下であれば、基礎控除額の範囲内となるため贈与税はかかりません。これを「暦年贈与」といいます。
110万円以下の暦年贈与では、贈与税申告などの手続きは不要です。
ただし、「毎年110万円ずつ10年間かけて贈与する」など、あらかじめ贈与財産の総額を決めてしまう場合は、暦年贈与ではなく「定期贈与」とみなされる可能性が高くなります。この場合、総額1100万円を一括して贈与したものとみなされ、基礎控除額を大きく超えることになってしまい、後になって贈与税を課せられる可能性もあります。暦年贈与による孫への生前贈与を行う場合は、受贈者である孫と毎年贈与するたびに贈与契約書を締結しておくとよいでしょう。

非課税になる限度額 1人の受贈者(孫)につき1年間に110万円以下
必要な手続き 特になし
注意点 定期贈与とみなされないために、贈与契約書を作成する

2-2. 学費(教育資金)としての孫への生前贈与

学費(教育資金)を使途目的とした孫への生前贈与の場合、一括贈与で1人の受贈者(孫)につき最大1,500万円までが贈与税の非課税対象となる制度があります。
この制度を適用すれば、一括贈与を受けた資金を使って複数年度に渡り教育資金の支払いを行うことができます。手続きとしては、贈与を受ける人が「教育資金口座」を金融機関に作り、口座開設を税務署に届け出る必要があります。取得した財産はこの口座に預け、教育資金として必要なときに引き出し、そのときに使った領収書を金融機関に渡します。

ただし、教育資金を贈与してから契約終了日までに贈与者が死亡した場合には、その死亡の日までの年数に関わらず、死亡日における専用口座の残額については相続税の課税対象となるので注意が必要です。ただし、贈与者の亡くなった日において受贈者が23歳未満の場合や、学校等に在学もしくは教育訓練給付金の対象となる教育訓練を受けている場合については、教育資金口座にある残額は相続の対象とならず、30歳に到達する日まで継続して贈与を受けることが可能です。
教育資金の一括贈与による非課税制度を適用している期間中、万が一贈与者が亡くなってしまった場合には、金融機関への届け出が必要です。その際、学校に在学中であること、教育訓練を受けていることを証明する書類を合わせて提出しましょう。

非課税になる限度額 1人の受贈者(孫)につき最大1,500万円まで
必要な手続き
  • 「教育資金口座」を金融機関に作り、金融機関を通じて税務署に教育資金非課税申告書を提出する
  • 使用した分の領収書を金融機関に提出する
注意点 制度適用期間中に贈与者が亡くなった場合には、一定の要件を満たす書類を金融機関に提出することで30歳まで継続可能

2-3. 保険での孫への生前贈与

相続税を抑える方法のひとつに、「保険」を使った孫への贈与方法があります。
一般的に生命保険であれば、例えば父が保険に加入した場合、死亡時の保険金の受け取りを母(配偶者)や子供にする場合がほとんどでしょう。この場合、受け取った生命保険金が非課税金額以上であれば、相続税が課税されます。(死亡保険金の非課税金額は500万円×法定相続人の人数)
一方、孫へ暦年贈与を活用し非課税限度額内(年間110万円以下)の贈与を行い、その資金を保険料として支払われるようにしておくことで、相続税を抑えることが可能です。このとき保険料負担者は「孫」で、被保険者を「祖父母」とし、保険金受取人も「孫」にしておくことで、祖父母の死亡時に発生する保険金は孫が受け取ることになります。このときの保険金は孫の「一時所得」となり、つまり「所得税」だけが課税されるのです。

非課税になる限度額 1人の受贈者(孫)につき1年間に110万円以下
必要な手続き 特になし
注意点
  • 定期贈与とみなされないために、贈与契約書を作成する
  • 保険料負担は「孫」、被保険者は「祖父母」、保険料受取人は「孫」とする

2-4. 結婚・子育て資金としての孫への生前贈与

結婚資金や出産・子育てのための資金として孫への贈与を行う場合、一括贈与を受けた1,000万円までが非課税対象となります。(そのうち、結婚資金の非課税限度額は300万円まで)
この制度の適用を受けるためには、贈与を受けた方が「結婚・子育て資金口座」を金融機関に作り、口座開設を税務署に申告します。その後、結婚や出産・子育てで使用した費用の領収書を金融機関に提出する必要があります。

また、結婚・子育て資金一括贈与の非課税制度の利用には、いくつかの注意点があります。結婚・子育て資金一括贈与の非課税制度を適用している期間中、万が一贈与者が亡くなってしまった場合には、金融機関への届け出が必要です。贈与者が亡くなってしまった時点で結婚・子育て資金口座にある残額は、生前贈与ではなく相続の対象となりますので注意しておきましょう。
さらに、結婚・子育て資金の非課税制度については、対象となる費用が細かく定められています。例えば、挙式や出産にかかる費用は非課税対象となりますが、新婚旅行の費用や子育てに必要な家具などに使った費用は非課税対象とは認められていません。また、受贈者の前年の所得が1,000万円を超えている場合には、制度の利用ができませんので、こちらも注意が必要です。
なお、孫に対して結婚・子育てにかかる費用の援助がしたいという場合、そもそも生活費援助として社会通念上適当と認められる範囲であれば、贈与税の課税対象にはなりません。そのため、一括贈与の非課税制度の利用はせずに、その都度、援助を行う方法を取られる方も多く、制度を利用する際にはよく検討されることをおすすめします。

非課税になる限度額 1人の受贈者(孫)につき1,000万円(結婚資金300万円)
必要な手続き
  • 受贈者が「結婚・子育て資金口座」を金融機関に作り、金融機関を通じて税務署に結婚・子育て非課税申告書を提出する
  • 使用した分の領収書を金融機関に提出する
注意点
  • 贈与者が亡くなった時点で残金が相続の対象となる
  • 非課税対象とならない費用もある
  • 孫の前年の合計所得金額が1,000万円を超えている場合は利用できない

2-5. 住宅取得等資金の贈与の非課税の特例を利用した孫への生前贈与

祖父母から孫への贈与のうち、土地や住宅などの取得資金として贈与された資金については、要件を満たしていれば一定の金額までは住宅取得等資金の贈与の非課税の特例を活用することで、非課税対象となります。一定の要件とは、受贈者である孫が20歳以上であること、贈与財産を取得する年において孫の合計所得金額が2,000万円以下(一定要件の場合には、1,000万円以下)であること、贈与された翌年の3月15日までにその住宅に住むか、住むことが確実であると見込まれること…などがあります。

住宅取得等資金の贈与の非課税の特例を活用した場合の非課税限度額は不動産取得する年やそのときの消費税率などにより以下の表のとおり定められております。

1.下記2以外の場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
~平成27年12月31日 1,500万円 1,000万円
平成28年1月1日~令和2年3月31日 1,200万円 700万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日 1,000万円 500万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 1,000万円 500万円

2.住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成31年4月1日~令和2年3月31日 3,000万円 2,500万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日 1,500万円 1,000万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 1,500万円 1,000万円

参照元:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

非課税になる限度額 契約年月日、消費税率、構造により異なる
必要な手続き 税務署へ贈与税の申告書を提出して申告する
注意点 一定の要件を満たしているかを確認する

住宅取得等資金の贈与の非課税の特例の適用を受けるためには、税務署へ贈与税の申告書を提出して申告する必要があります。

贈与の目的 非課税範囲 手続きの方法
学費(教育資金)をその都度 必要とされる範囲内 なし
学費(教育資金)を一括贈与 1,500万円まで 金融機関経由で税務署へ申告
結婚資金(出産・子育て) 1,000万円(うち結婚資金は300万円) 金融機関経由で税務署へ申告
住宅資金 居住用家屋の契約の締結日、消費税率、省エネ耐震等に応じた金額 贈与年の翌年2月1日~3月15日までの間に、税務署へ申告

2-6. 不動産小口化商品を活用した孫への生前贈与

現金ではなく、同じ価値水準の不動産を生前贈与した場合、贈与税の対象となる財産評価額が下がる傾向にあります。
例えば2,000万円の現金を生前贈与するときの贈与財産の評価額は2,000万円ですが、時価2,000万円の不動産を生前贈与する場合の贈与財産の評価額は一般的に時価よりも小さくなり、仮に7割評価となる不動産であれば1,400万円を贈与したこととできるのです。そのため現金から不動産へ資産を置き換えて生前贈与することで、現金で贈与するよりも財産の評価額を低く抑えることができる可能性があります。
とはいえ、不動産を購入するにはかなり高額な資金が必要となるため、なかなか手が出せないという方も多いでしょう。
そこで、多くの方が活用されるのが不動産小口化商品です。任意組合型の不動産小口化商品の場合、現物不動産と同様の扱いとなり、相続税・贈与税の対象となる財産の評価額を低く抑えることができる可能性があります。また、孫が複数人いる場合、現物不動産を分けて贈与するのは難しいですが、不動産小口化商品は細かく分割ができるため、分けやすいというメリットもあります。

不動産小口化商品のなかでも特におすすめしたいのが弊社の「Vシェア」です。「Vシェア」とは、個人では購入することが難しい都心エリアの商業地にあるオフィスビルを弊社が小口化し、1口100万円単位・5口以上(最低口数は変更となる場合があります)から不動産の小口購入を実現した商品です。資産運用として多くの方にご利用いただいていることはもちろん、1口単位で複数の相続人へ、オーダーメイドで贈与することができるため、非課税限度額内での生前贈与としてご活用いただけ、相続税評価額が引く抑えることができる可能性があります。

3. 孫への贈与では注意点もある!遺留分減殺請求とは?

多くのメリットがある祖父母から孫への贈与ですが、実際に贈与を行う際に注意すべきことについて解説していきます。

3-1. 定期贈与とみなされないようにする

祖父母から孫へ毎年110万円以下の暦年贈与をする場合には、定期贈与とみなされないように注意しましょう。後になって税務署から定期贈与だとみなされてしまうと、高額な贈与税を課せられてしまいます。定期贈与とみなされないためには、受贈者である孫と毎年贈与するたびに贈与契約書を締結しおくとよいでしょう。
贈与契約書については、こちらの記事をご参照ください。

3-2. お互いに合意したうえで、孫自身での管理が必要

祖父母から孫への生前贈与には、お互いの合意が必要です。祖父母が一方的に財産を譲ろうとしても、孫の合意がなければ生前贈与は成立しません。
また、贈与した財産を孫自身が自由に扱えない状態にある場合、贈与契約は成立していないとみなされます。例えば、孫の名義で銀行口座を作って贈与財産を振り込んだという場合、その通帳の管理を孫が行っていれば問題ありませんが、祖父母が管理していたというケースでは、生前贈与とは認められません。

3-3. 贈与目的以外の使途で使わない(使わせない)

非課税制度の適用を受ける場合、教育資金を使途目的とした贈与、結婚・子育てを使途目的とした贈与など、前述のとおり非課税制度のほとんどが使途目的を限定した贈与となっています。
しかし、財産を取得した孫が、知ってか知らずか別の使途目的に使ってしまった場合、後々税務署調査が入った際に制度適用から外されてしまい、追徴課税を支払わなければいけない可能性があります。

3-4. 孫への贈与は遺留分を侵害しない範囲内にする

祖父母から孫への贈与における注意点としては「遺留分」もあげられます。
遺留分とは、法定相続人(配偶者もしくは子供)が一定割合の相続を受けることを法律上保障するものです。例えば、祖父が孫へ財産のほとんどを生前贈与していた場合、祖父の死後に配偶者(祖母)から遺留分の権利を主張され、孫は遺留分滅殺請求を受け、祖母と孫の間で争いが発生してしまう…というケースが考えられます。

≫ 相続・生前贈与でお悩みの方はこちら

4. 最後に

今回は祖父母から孫への贈与を行うメリットや注意点について解説してきました。孫への生前贈与について、非課税制度の特例適用を受けるためには、一定の要件を満たさなければならない、税務署などへの煩雑な申告手続きが必要となる、などの課題があります。
一方、弊社の「Vシェア」にはご活用いただくための条件などはなく、オーダーメイドで自由な生前贈与を設計していただけるよう設計されています。個人では保有することが難しい都心の商業エリアにある優良物件を所有することができ、賃料収入の分配や不動産売却時の利益分配を受けていただくことを目的として開発された商品です。
「Vシェア」についてより詳細に知りたいという方は、下記ページをご参照ください。

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税務の取扱に関する監修

マックス総合税理士法人マックスソウゴウゼイリシホウジン

プロフィール
掲載記事

渋谷本社、自由が丘オフィスを拠点に、東京都心及び、城南地区の地主や資産家に対し、『民事信託も活用した相続・相続への準備、不動産の売買や贈与時の提案』といった資産税コンサルティングを手がける。
毎週末、不動産に関する税務相談会も行っており、ただの税務理論だけでなく、不動産の現場にも精通する知識と経験を備えている。
マックス総合税理士法人http://www.max-gtax.com/

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