不動産の贈与にかかる税金は?注意点や非課税になる方法を解説!【税理士監修】

相続・贈与 贈与税

目次

財産を贈与するときにかかる贈与税。税金がかかることは知っているけれど、何に対してどれくらいの税が課されるのかが分からない、という方は多いものです。例えば不動産を保有している場合、子どもへ贈与するときにどのくらいの贈与税がかかるのでしょうか?この記事では、不動産の贈与にかかる税金の計算法や贈与税が非課税になるケースについてご説明します。不動産をお持ちで相続対策を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

1. 贈与税と課税対象について

まずは、贈与を行った際にかかる税金(贈与税)についての基本を知っておきましょう。
贈与とは「特定の誰かに対して、自分の財産を無償で贈る意思表示をし、受け取る相手が承諾をする」ことであり、お互いの合意で成り立つのが大前提です。 この合意を基にして、受け取った相手(受贈者)に課税されるのが贈与税です。

1-1. 贈与税の計算方法

贈与税は、「贈与財産の総額」から「基礎控除額110万円」を引いた額に「税率」を乗じ、さらに「控除額」を差し引いて算出します。
基礎控除後の課税価格が200万円以下であれば、税率10%(控除額0)です。
以後、課税価格と税率、控除額は段階的に上昇していきます。贈与の額が大きくなれば、その分贈与税率も高くなっていくという仕組みです。
控除額は受贈者との間柄や贈与財産を使う目的、種類によって特例が設けられていますが、原則は「年間110万円の基礎控除」が基準となります。
年間に110万円以上のやりとり(贈与)があれば贈与税がかかる、と覚えておきましょう。

1-2. 不動産を譲った場合にかかる税金

年間110万円以上の贈与に贈与税がかかると解説しましたが、金銭財産だけでなく、土地・建物といった不動産や高級車などを贈与するときも贈与税がかかります。
資産価値が認められるものであれば贈与税の対象になるので、注意しておきましょう。
また、不動産の名義が変わる際に課される「登録免許税」や、「不動産取得税」も贈与の際に必要となります。

2. 不動産の贈与にかかる贈与税の計算方法

現預金ではなく土地・建物の不動産を贈与した場合、贈与税額はどうやって算出されるのでしょうか?算出に必要なポイントを紹介します。

2-1. 不動産の価格を知る

土地と建物では、贈与税計算の基本となる「課税価格」の算出方法が異なります。
生前贈与をしようと考えている方は、実際に贈与税がどのくらいになるか把握するため、不動産算定の基準となる額を調べておくとよいでしょう。

建物は不動産の「固定資産評価額」が基本

対象の不動産を金額で表す方法には、
 ・購入時価格
 ・時価相場価格
 ・固定資産評価額
があります。贈与をする建物価値を、実際に売買取引されている時価相場額で確認することもできますが、条件や時勢、経年数に応じて不動産の価値は変わるため、公正一律に評価するのは難しくなります。
そこで、贈与税額を計算するときには、その年の「固定資産評価額」を基準にします。

土地は「路線価」が基本

土地の贈与税額は、贈与する土地に隣接している道路の価格(路線価)に、土地面積を乗じて算出します。
路線価は国税庁が毎年7月頃に公表するもので、インターネットで無料閲覧することができます。

2-2. 贈与する不動産の持分の計算方法

不動産を贈与する場合、対象不動産の持分にも注意しておく必要があります。
不動産の持分は原則、持分登記(登記の割合)によりますが、資金の負担割合により持分が決まるので、対象不動産を購入した代金の負担割合は慎重に計算しなければなりません。場合によっては贈与とみなされ、贈与税が課されることもあるので注意しましょう。

不動産持分は購入資金の支出割合で決まる

夫婦でマイホームを購入する場合、「二人別々にローン借入する」か「二人で協力して一口借入する」で迷うものです。
夫と妻が別に住宅ローンを組んで返済すれば、それぞれで住宅ローン控除等の適用を受けられますし、持分も明らかです。
逆に借入を夫または妻のどちらか一方で行った場合は、返済を共同で行うことになり、購入金額の負担割合が分かりづらいという難点があります。
頭金を負担したのは誰か、資金援助があったかどうか、これらも現実に即して支出割合を計算しておくのが望ましいでしょう。

不動産持分の計算方法(算出式)

不動産持分を表す計算式は以下のとおりです。
その人が出した購入資金(借入含む)÷ 不動産購入代金
なお、不動産購入代金には、購入代金以外に以下のような取得費も含まれます。
・土地、建物の取得費(共通)
ローン締結にかかる費用(借入日から使用開始までの期間の保証料と団体信用生命保険料、事務手数料など)、登記関連費用(抵当権設定登録免許税・手数料)、など 
・建物の取得費
設計費や仲介手数料、売買契約書印紙代 など
・土地の取得費
古家の取り壊し費用、埋め立て・地盛り・下水道・よう壁工事費等、売買契約書印紙代 など

  • 不動産持分を変更するときに必要なもの
    不動産の所有権を第三者に対して公正に主張できるようにするため、また贈与をした事実を互いに認識するためにも、持分変更登記の手続きを行いましょう。変更登記に必要なものは以下の通りです。
    ・贈与する人(贈与者):不動産権利証、印鑑証明書、不動産評価証明書、身分証明、住民票、実印 など
    ・贈与される人(受贈者):住民票、身分証明、印鑑 など

    このほかに、所有権移転登記を行う際の登録免許税、不動産取得税が必要となります。贈与契約書作成を依頼する費用も準備しておきましょう。

3. 贈与対策としての不動産の贈与方法は?

年間の基礎控除内(110万円)で地道に毎年贈与すれば、長い目で見れば非課税で多額贈与も可能ですが、特例やタイミングを計り、受贈者が贈与を受けたいときに、適切な贈与方法を最優先に考えることが大切です。
セカンドライフ世代を迎えると、近親者に不動産を贈与しておこうかと考える人は少なくありません。
実は、夫婦間または子どもへの贈与とマイホーム購入を一緒に検討すると、効率的な贈与対策になります。

3-1. 夫婦間で不動産贈与したときの配偶者控除(おしどり贈与)を利用する

配偶者に居住用の不動産を贈与する場合、基礎控除110万円とは別に、最大で2,000万円の配偶者控除(通称 おしどり贈与)を受けられます。
よって、評価額が2,110万円より低ければ、贈与税は0円となります。

3-2. 住宅取得等資金贈与の特例を利用する

子どもが結婚して独立し、マイホームを購入する際には、「住宅取得等資金贈与」の特例を利用しましょう。
子どもまたは孫(直系卑属)が居住用家屋を新築・改築・取得する際は、贈与額から一定額が非課税となります。
耐震性・省エネルギー性等に優れた「省エネ住宅」なら最大3,000万円(消費税10%の場合)の贈与が非課税となります。

ただし、建物の床面積や建築条件、受贈者の年齢、贈与年の所得に条件があります。非課税枠の見直しを繰り返している特例なので、贈与する際は税理士など専門家に相談してみるとよいでしょう。

3-3. 現預金より不動産で贈与したほうが得

配偶者や子・孫世代が自由に使えるように「金銭」を準備したい、というのが贈与する側の想いでしょう。
現預金や生命保険、有価証券など、金銭で残したくなる気持ちも理解できます。
ただ、同額の財産を残すのであれば、現金よりも不動産のほうが贈与対策としては効果的です。不動産は、市場価格より低めの「評価額」となるケースが多く、一不動産であっても持分に沿った贈与が可能です。
また、マンションやテナントの一室を購入し、その区分所有権を運用資産として贈与する方法もあります。子孫世代の長い将来に備えとして、消費して終わる現金ではなく、投資運用資産を贈与するのもよいでしょう。

4. 不動産の贈与を行うときの注意点

生前贈与は、相続のように来るべきときが来て慌てて行うのではなく、充分に検討して、皆が納得して進められるのが大きなメリットです。
ただ、検討の時間があるからこそ注意しておかねばならないこともあります。

4-1. 不動産贈与契約書を作成する

贈与そのものは互いの意思表示と合意で成立しますが、しかるべきときに備えて書面にしておきましょう。
節税の策を必死に練って、適切なタイミングで贈与したつもりが、同意の取り付けを証明できないために想定外の税金を課せられる、ということにもなりかねません。

不動産贈与契約書に特定の形式はなく、パソコンまたは手書きで自由に作成できます。ただし、本人が作成したことを証明するために、日付と署名は手書きで記入しましょう。
不動産贈与契約書に記載する内容は、
「誰が・誰に・何を・いつ・どんな方法で贈与するか」の5つです。
それぞれの項目をきちんと具体的に記すのがポイントとなります。
不動産贈与では「何を」が特定できるように、登記簿上の住所を記載しましょう。

4-2. 共有者間での売却・収益分配に関する注意点

不動産の持分贈与をした後にも注意が必要です。
贈与後に売却を行う際に共有者の同意を得られず売却できなかったり、家賃の分配が適正に行われないなど、共同や収益分配の際にトラブルになるケースもあります。

Vシェアであれば現物不動産と同様の扱いで資産保有することが可能で、1口100万円単位で5口(500万円)からご購入することができるため、相続の際の分割や生前贈与が容易になります。所有不動産をVシェアに変えることで、平等に分割可能な不動産の所有が可能になります。「Vシェア」についてより詳しくご覧になられたい方は、下記ページをご参照ください。

4-3.不動産の名義変更登記をする

夫婦・親子間の親族であっても、不動産の贈与をしたときは必ず名義変更の登記をしておきましょう。互いの合意があれば贈与は成立しますが、その権利を第三者に主張することはできません。名義変更の登記をして、新たな所有者を登記簿に記載することで、初めて公にその所有を認められるのです。金銭のやりとりがない場合でも、不動産の所有者が変わったことを登記する必要があります。

4-4. 贈与税申告を忘れずに

贈与税は申告することで確定します。特例を適用した場合には、納税額0円であっても申告を忘れないようにしましょう。期限後になると適用できない特例もあります。

5. まとめ

親族間で不動産の贈与を行う場合は現預金と異なり、不動産の評価額に対して贈与税が課せられます。
不動産そのものを贈与するか、また不動産を親族が購入する際の資金を贈与するかなど、事情によって適用できる特例も変わります。
贈与者と受贈者の人生軸で考えながら、お互いに気持ちよく不動産を引き継ぎ活用するためのプランを検討し、上手に節税することを心がけましょう。

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  • 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。

税務の取扱に関する監修

マックス総合税理士法人マックスソウゴウゼイリシホウジン

プロフィール
掲載記事

渋谷本社、自由が丘オフィスを拠点に、東京都心及び、城南地区の地主や資産家に対し、『民事信託も活用した相続・相続対策、不動産の売買や贈与時の節税』といった資産税コンサルティングを手がける。
毎週末、不動産に関する税務相談会も行っており、ただの税務理論だけでなく、不動産の現場にも精通する知識と経験を備えている。
マックス総合税理士法人http://www.max-gtax.com/

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