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遺産相続手続きの期限はいつまで?期限を過ぎたときの対処法は?【弁護士監修】

相続対策 遺産相続

遺産相続
写真:丸山 純平

記載内容の内、法務に関する内容の監修

丸山 純平

弁護士(第二東京弁護士会登録)
丸山・小佐田弁護士法人 丑和総合法律事務所
一般社団法人 東京都不動産相続センター 理事

目次

遺産相続の手続きには期限が設定されている場合がほとんどです。期限を過ぎてしまうと、ペナルティが科せられる場合もあるため、遺産相続手続きを進める際は、それぞれの手続きの期限を把握し、期限までに確実に手続きを行えるよう準備をしておきましょう。
この記事では、遺産相続に関わる手続きの期限や、期限を過ぎたときの対処法について紹介します。

1. 遺産相続で知っておきたい期限について

遺産相続で知っておきたい手続きとその期限は以下のとおりです。
遺産相続の手続きは自分でもできますが、専門家に相談することもできます。自分で手続きを行うのが難しいと感じたときは、早めに専門家に相談するのもひとつの方法です。

手続き 期限 相談できる専門家
遺産分割協議 なし 弁護士
相続税申告・納付 被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内 税理士
相続税還付手続き 相続税の申告期限から5年以内 税理士
相続放棄 相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内 弁護士
司法書士
限定承認 相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内 弁護士
司法書士
準確定申告 相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内 税理士
遺留分侵害額請求 相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った日から1年以内 弁護士
生命保険の死亡保険金請求 被相続人が亡くなった日の翌日から3年以内
相続不動産の名義変更登記 現状はなし
  • 2024年以降「不動産の相続を知った日から3年以内」となる可能性が高い
司法書士
金融機関の相続手続き なし

1-1. 遺産分割協議の期限

遺産を相続人で相談して分ける場合、最初に行うのは「遺産分割協議」です。
遺産分割協議自体に期限は定められていませんが、遺産分割は原則相続税の申告期限までに完了することを目指した方が良いです。なぜならば、相続税の申告期限までに完了しないと、未分割で申告の上、分割完了後に更生の請求または修正申告を行う必要がある他、未分割申告時には税額の軽減特例は使えないなどの点があるからです。

また、遺産分割協議は相続人全員が集まって話し合うのが基本ですが、話し合いがまとまらない場合は、調停や審判の裁判手続を利用することになります。そして、審判を申し立てたり、調停が不調で終わった場合に審判に移行した後、遺産分割方法を裁判所が決定することを「遺産分割審判」といいます。
遺産分割審判が行われた場合、審判に不服がある場合は、高等裁判所に対して即時抗告という異議を申し立てることができますが、この場合、審判書を受け取ってから2週間以内が即時抗告の期限となります。

1-2. 相続税申告・納付の期限

遺産分割協議でそれぞれの相続人が相続する財産の額が決定したら、相続税の申告・納付の手続きを行います。
相続税の申告・納付の期限は、「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内」です。例えば、被相続人が2021年9月10日に亡くなり、その日にそれを知った場合の相続税の申告期限は2022年7月10日となりますが、2022年7月10日は日曜日であるため、この場合その翌日の2022年7月11日が相続税の申告期限となります。

1-3. 相続税の還付手続きの期限

相続税の申告・納付手続きの後、相続税を払い過ぎてしまったときに行う還付手続きの期限は、「相続税の申告期限から5年以内(相続日からは5年10カ月以内)」です。
相続税の還付手続きは、相続税の申告・納付を行った税務署に対して、更正の請求という手続きを行います。

1-4. 相続放棄の期限

亡くなった方の法定相続人が遺産相続をしたくない場合は、相続放棄の手続きを行うことで、相続の権利を放棄することができます。
相続放棄の手続き期限は「相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内」です。この3カ月は手続き完了ではなく、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出する期限となっています。

1-5. 限定承認の期限

遺産相続の限定承認とは、相続する財産にマイナスの財産があった場合に、プラスの財産からマイナスの財産(負債)を清算し、プラスとして残った財産だけを相続するというものです。限定承認が認められると、遺産相続の対象となるプラスの財産を限度としてマイナスの財産を清算するため、自分の財産を使って被相続人の負債を清算する必要はありません。
限定承認をするためには、「相続人全員が共同で」「相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内」を期限として家庭裁判所に相続の限定承認の申述書を提出する必要があります。

1-6. 準確定申告の期限

準確定申告とは、納税者が亡くなったときに行う手続きのことで、相続人が1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、申告と納税手続きを行うことをいいます。遺産相続と直接関係があるわけではありませんが、相続人が行うべき手続きとして期限を覚えておきましょう。
準確定申告の期限は、「相続の開始があったことを知ったときから4カ月以内」です。

1-7. 遺留分侵害額請求の期限

遺留分侵害額請求とは、被相続人の配偶者、子供、親などの法定相続人が、本来は遺産相続によって受け取るはずであった財産(遺留分)を贈与や遺贈によって侵害された場合に、侵害された遺留分を取り戻すために金銭の請求を行うことをいいます。

遺留分侵害額請求の期限は、「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った日から1年以内」です。また、被相続人が亡くなったことを知らなかった場合でも、被相続人の相続開始から10年経つと遺留分侵害額請求権は時効により消滅します。

1-8. 生命保険の死亡保険金請求の期限

遺産相続の対象となる財産に生命保険の死亡保険金が含まれる場合は、死亡保険金の請求期限についても把握しておきましょう。
保険法第95条により、死亡保険金を請求する権利は、権利が発生した日の翌日から3年以内に行わなければ消滅すると規定されています。そのため、「被相続人が亡くなった日の翌日から3年以内」を期限に、保険会社に対して死亡保険金請求を行う必要があります。

1-9. 相続した不動産の名義変更登記の期限

遺産相続の対象となる財産に不動産が含まれる場合は、相続した不動産の名義変更登記が必要です。
相続登記の期限については、現状、いつまでに行わなければならないという明確な定めはありません。しかし、2024年を目途に不動産の相続登記が義務化される可能性が高く、その場合は「不動産の相続を知った日から3年以内」の相続登記が義務づけられる予定のため、注意しておきましょう。

1-10. 金融機関の相続手続き期限

亡くなった被相続人の預貯金を相続人が引き出す場合や、被相続人の口座の名義変更を行う場合は、金融機関ごとに必要な手続きを確認して行う必要があります。
金融機関の相続手続きに期限は定められていませんが、誰が相続するかが決定したら、早めに行うのが望ましいでしょう。

2. 遺産相続の期限を過ぎたらどうなる?対処法を解説!

遺産相続に必要な手続きは多岐に渡るため、それぞれの期限を把握したうえで、手続きの漏れがないよう速やかに行うことが大切です。

2-1. 遺産相続の期限を過ぎた場合のペナルティ

遺産相続の手続きを過ぎてしまった場合、手続きによっては大きな不利益になったり、ペナルティが発生したりするケースもあります。例えば、相続の申告・納付手続きが期限を過ぎたら延滞税や無申告加算税が、悪質だと認められれば重加算税が課せられ、場合によっては刑事罰が科せられるケースもあります。

また、相続放棄や限定承認、遺留分侵害額請求は、期限を過ぎてしまうと認められないため、マイナスの財産を相続しなければならなくなったり、本来は相続できるはずの財産の権利が消滅してしまったりすることになるため、注意が必要です。

2-2. 遺産相続の手続き期限を過ぎたときの対処法

遺産相続の手続きは、特別なやむを得ない事情がある場合に限り、期限を延ばしてもらえる場合があります。また、相続放棄や限定承認などの手続きは、相続開始時点では知り得なかった多額の負債が発覚した場合など、3カ月の期限を過ぎた後でも認められるケースも存在します。
そのため、遺産相続の手続きで期限を過ぎてしまったら、まずは専門家に相談し、アドバイスをもらうことをおすすめします。

また、遺産相続の手続きは、相続財産や相続人の人数が多ければ多いほど複雑になります。すべての手続きを自分で行おうとすると期限を過ぎてしまうリスクも高まるため、難しい手続きについては無理に自分で行おうとせず、最初から専門家に依頼することも検討するとよいでしょう。

2-3. 新型コロナウイルス感染症の影響による相続税申告期限の延長

相続税の申告・納税期限は新型コロナウイルス感染症の影響によるやむを得ない事情がある場合、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出することで、延長が認められます。
「災害による申告、納付等の期限延長申請書」は、国税庁のホームページまたは管轄の税務署で入手することができます。期限の延長を申請する場合は、相続人全員がそれぞれ手続きを行う必要があるため、注意しましょう。

出典:国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ|国税庁
申告・納付等の期限の個別延長関係|国税庁

3. 遺産分割をスムーズに進めるには早めの相続対策が大事

遺産相続の手続きを期限内に確実に行うためには、遺産相続の第一歩となる遺産分割をいかにスムーズに進めるかが重要になってくるでしょう。

遺産分割をスムーズに進めるためには、遺産分割協議で相続人がもめたり、争いになったりしてしまったりしないよう、財産を所有している方が生前のうちから、しっかりと相続対策を行っておくことが大切です。
所有する財産の目録を作成したり、親族間で相続について話し合ったりなど、相続対策として有効な方法はいくつかありますが、相続対策は相続が始まってからでは手遅れとなることがほとんどです。また、財産を所有する方が認知症になるなど健康を損ねてしまうと、相続対策は難しくなってくるでしょう。
そのため、遺産分割をスムーズに行い、遺産相続の手続きを期限内に完了させるための相続対策は、できるだけ早いタイミングで検討を始めることをおすすめします。

4. 最後に

今回は遺産相続を行うにあたって知っておきたい手続きの期限や、期限を過ぎたときの対処法について説明してきました。

遺産相続の手続きは多岐に渡り、なかには複雑で難しい手続きも含まれます。期限内に手続きができるか不安がある方は、最初から専門家に相談し、アドバイスをもらいながら進めることをおすすめします。
また、遺産相続の手続きを期限内に確実に行うためには、遺産相続の第一歩でもある遺産分割をスムーズに進めることが大切です。遺産分割協議で争いやトラブルを避けるためにも、早め早めの相続対策を心がけましょう。

  • 本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
  • 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。
写真:丸山 純平

記載内容の内、法務に関する内容の監修

丸山 純平まるやま じゅんぺい

弁護士(第二東京弁護士会登録)
丸山・小佐田弁護士法人 丑和総合法律事務所
一般社団法人 東京都不動産相続センター 理事

プロフィール
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「相続を争続にさせてはならない」
私は、相続案件や事業承継案件に関し、法律面、税務面、感情面からお客様をサポートすることが、相続に携わる弁護士としての使命ではないかと感じています。生前の相続対策は、争続を防ぐ最大のポイントです。法律や税務上の課題をクリアにしつつ、お客様の思いを最大限に活かした相続対策を実現します。一方で、相続発生後、万が一様々な課題に直面した場合でも、お客様の状況に応じてサポートいたします。私はこれまで多数の相続案件、事業承継案件に携わり、「お客様に安心していただくための解決」という視点から、最適な解決策を提案してきました。これからも自らの知見と経験を基に、相続や事業承継に関する最新情報を踏まえて日々研鑽を重ねつつ、お客様に寄り添ったリーガルサービスを提供してまいります。
一般社団法人 東京都不動産相続センターhttps://fudosan-sozoku.or.jp/

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