退職金専用の定期預金はお得?有効活用する方法【FP執筆】

資産運用 老後資金

目次

1. 退職金定期預金とは

1-1. 普通の定期預金よりも金利が高い

長引く低金利の中、退職金専用の定期預金が人気です。退職金専用の定期預金(以下、「退職金定期預金」)は、退職したばかりの人だけが利用できる定期預金で、普通の定期預金よりも金利がかなり高く設定されています。例えば現在(2020年8月末)、3カ月定期預金の金利は0.002%が一般的ですが、退職金定期預金は0.5%ぐらいが珍しくありません。なかには1.0%以上の銀行もあります。
しかも、金利が高いとはいっても、定期預金ですから元本確実で、確定金利です。安全で、しかも金利が高いのですから、人気になるのもうなずけます。

退職したばかりの人だけを優遇するのですから、すべての金融機関で扱っているわけではありませんし、内容もさまざまですが、それでも共通する傾向があります。
まず、期間は3カ月など、比較的短いものが多くなっています。そのまま預けておくこともできますが、当初の優遇期間が終わると、あとは普通の定期預金としての金利になります。預け入れ金額は500万円以上が多く、上限は退職金額までとしているところもあります。
利用できるのは、退職後1年以内や3年以内などの制約があり、「退職所得の源泉徴収票」などの証明書を提示して確認するのが一般的です。基本的に申し込みは店舗のみで、インターネットでの利用はできません。まれに、ビデオ通話を利用することで店舗に出向かなくてもよい銀行もあります。

1-2. 退職者専用のプランもある

退職金専用の預金は用意していないものの、退職者専用のプランを設け、定期預金の金利を優遇している金融機関もあります。
退職者プランでは、定期預金と投資信託をセットにしており、投資信託の購入を条件に定期預金の金利を優遇します。定期預金と投資信託のセットプランは多くの銀行で扱っていますが、退職者の場合はさらに優遇幅が大きくなります。中には、3カ月定期預金の金利を7.0%としている金融機関もあります。
セットプランの場合は投資信託の購入で、金融機関は大きな手数料収入が得られます。そのため、短期間であれば預金金利を大幅に優遇しても、銀行は元が取れるわけです。退職したばかりの人であれば、まとまった資金での投資信託の購入が見込めますので、優遇幅も大きくできるのです。

2. なぜ退職者を優遇してくれるのか?

2-1. 金融機関の狙い

では、退職金定期預金の金利が優遇されるのはなぜでしょうか。
まずは、退職金というまとまった資金を預けてもらいたいという狙いがあります。ただ、それだけではこれほどの高金利にはなりません。今のような低金利の時代には、無理して預金を集める必要はありません。それよりも金融機関が欲しいのは、投資信託の購入や保険商品への加入による手数料収入です。
退職金定期預金は金利を優遇していますが、期間は3カ月などと短くなっています。3カ月が経過すると、普通の3カ月定期預金となり、利率は極端に低下します。そのタイミングで投資信託の購入や保険商品への加入をしてもらおうという目論見です。

退職金を手にするのは、サラリーマンだった人です。初めてまとまった大金を手にする人も珍しくなく、多くが投資の初心者です。資産運用に慣れていないため、金融機関の担当者のアドバイスを受け入れやすい傾向があります。金融機関にとっては、3カ月後の預け替えを期待して、金利を優遇しているわけです。多くの銀行で、退職金定期預金が店舗だけでの取り扱いとなっているのは、投資初心者である退職者に運用商品を紹介し、資産運用へ目を向けてもらうためです。

2-2. 退職金定期預金を利用するメリット

このような金融機関の狙いを踏まえると、退職金定期預金のメリットとデメリットがよく見えてきます。まずメリットを確認します。

まずは何と言っても金利が高いことです。前述のように、普通の定期預金と比較するとはるかに高い利率になっています。資産運用の原則から言えば、成果である金利が通常よりも高い場合は、それ相応のリスクがあるのが普通です。ところが、退職金定期預金は金利が高い以外は通常の定期預金と変わりありません。そうであれば、金利が高い方を選んだ方がお得です。

もう1つのメリットは、この商品を利用することで、退職金の使い道を考える時間ができることです。退職金というまとまった金額の資金をもらっても、なかなかすぐには使い道や運用方法を決めることはできないものです。ましてや定年前後であれば、挨拶回りをしたり、リフレッシュの旅行に出かける人も多いでしょう。再雇用で相変わらず忙しく働く人も少なくありません。支給された退職金を退職金定期預金に預けておけば、落ち着いてから退職金の使い道を考え、じっくりと運用方法を検討することができます。運用の方針を決めるのに、3カ月は必要な期間といえるでしょう。

2-3. 退職金定期のデメリット

一方デメリットもあります。1つは、すぐに満期が来てしまうということです。多くの退職金定期預金は3カ月など、短いものが多くなっています。この期間が過ぎると普通の定期預金の金利になりますので、利率が大幅に下がります。多くの人はその時点で「退職金をなんとかしなければ」と考えます。通常の金利になってもけっして損するわけではないのですが、それまでが良かっただけに、もったいない気分になります。「早く有利な運用をしなければ」と焦ってしまう人も少なくありません。

そして2つ目が、退職金を預けた金融機関のターゲットになることです。退職金定期預金の満期日はわかっていますから、その日に向けて退職金定期預金を利用している顧客に、運用商品のセールスをしていきます。退職金定期預金の申し込みが店舗だけで、ネットではできないのは、直接会ってセールスをする機会を確保したいという銀行の思惑があります。
退職金定期預金は、満期後に投資信託の購入や保険商品への加入につながりやすく、そのために金融機関は高い金利を設定して、退職者を呼び込んでいるのです。

3. 退職金定期預金は利用しない方がよいのか?

3-1. メリット・デメリットを理解した上でうまく活用する方法

金融機関のセールスのターゲットになるから、退職金定期預金は利用しない方が良いというのは早計です。デメリットはあっても、高い金利はやはり魅力です。そこで、退職金定期預金の〝うまい〟活用の仕方を考えてみましょう。

まずは、この3カ月間を資産運用の勉強期間ととらえて、有効活用をしましょう。退職金を預けた銀行の担当者からの情報を参考にするのもよいでしょう。ただし、担当者の言いなりになってはいけません。それには、いろいろなところから情報を入手するのがポイントです。(たとえば、このサイトの記事を読むのも貴重な情報入手になります!)いろいろなところから情報を仕入れることで、自分の意志で資産運用の判断ができるようになります。
投資する対象も、金融商品に限らず、いろいろなものを検討するとよいでしょう。投資先をいろいろな資産に分けることで分散投資となり、資産が安定するという効果があります。
そして、ぜひ心掛けていただきたいのが、一度にすべての資産を投資しない、ということです。投資対象を分散していても、ひとたびリーマン・ショックのような金融危機が起きると、すべてが値下がりし、大きな損失となってしまいます。それを避けるには、金額を分けて、少しずつ投資することが大切です。退職金定期預金の優遇期間が終わっても、金利が下がるだけです。あわてずに、何回かに分けて投資をするようにしたいものです。

3-2. 退職金定期預金の満期の後は

最後に、退職金定期預金の後の資産運用について考えてみましょう。預貯金以外で資産運用をすると、価格の変動があり、投資のリスクを伴います。そのリスクをできるだけ少なくする投資の3原則があります。投資タイミングの分散と、長期投資、分散投資です。

投資タイミングの分散は、先ほどご紹介した、投資のタイミングを複数回に分けることです。退職金が出た直後、退職金定期預金の優遇期間が終わった直後にまとめて投資するのではなく、何度かに分けて投資することが大切です。年に1回、10年ぐらいに分けてもよいでしょう。毎月自動的に投資していく積立投資も有効です。
そして、一度投資をしたら、できるだけ長く保有する方が良いでしょう。その中には急上昇するときもあれば、下落することもあります。その時に一喜一憂せずに、長期的な運用に徹した方が、結果的に良い成果となることが多くなっています。
そして、分散投資は投資先をできるだけいろいろなものに分けて投資するということです。そうすることで、特定の分野での急落などの影響を小さくすることができます。分散投資をするには、投資する分野ができるだけ離れたものにするとよいでしょう。株式の銘柄を分けるだけでなく、株式と債券、日本国内と海外、というように。さらには、金融商品だけでなく、不動産も入れると、投資対象がグッと広がります。

分散投資をしながら長期投資をするのには、不動産小口化商品が候補にあがります。たいていの人は金融商品を保有していますので、そこに不動産を加えることで、分散の幅が広がります。さらに不動産であれば長期的に保有をすることになりますので、自然と長期投資になります。不動産小口化商品は、金融商品よりも相続税評価額が低くなることが多く、相続税対策にもなります。退職金であれば、相続することまでも考慮に入れた、長期間の運用をしていきたいものです。

記事執筆:村井 英一(ファイナンシャル・プランナー)

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  • 本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
  • 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。
写真:村井 英一

記事執筆

村井 英一むらい えいいち

プロフィール
掲載記事

ファイナンシャル・プランナー(CFP、1級FP技能士、証券アナリスト、宅地建物取引士)
1965年生まれ。大手証券会社で法人営業、個人営業、投資相談業務を担当する。2004年にファイナンシャル・プランナーとして独立後は、相談者の立場にたった顧客本位のコンサルタントを行う。特に、資産運用、住宅ローン、年金問題、ライフプランニングなどを得意分野とする。
家計の診断・相談室https://kakeinoshindan.com/

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