老後資金の上手な貯め方と賢い使い方《貯め方編》【FP執筆】

資産運用 老後資金

目次

「老後資金はいくら必要ですか?」というご質問は、ファイナンシャルプランナーになってから、最も多く受けた質問になります。
もともと日本人は、老後資金への関心が高いことに加え、《人生100年時代》という課題が上乗せされました。老後資金に対する関心が高まるのは、自然な流れといえるでしょう。
また2020年前半から始まった新型コロナウイルス感染症の影響によって、少なからず今後の家計管理や老後資金の準備法について、考えさせられるようになりました。収入や資産が減ったご家庭の中には、老後資金の準備方法を見直さなければならないケースもあると思います。ウイズコロナの時代を生き抜き、安心して老後生活を送るためには、老後資金をどのように準備していけばいいのかを考えます。

1. 老後資金は自分に向いた方法で作る
ブームを気にしないのが成功の秘訣

今回は個人的な経験談が多くなることを、ご容赦ください。ファイナンシャルプランナーになって28年が過ぎた私の、老後資金準備をご紹介したいと思います。

フリーライターとマネーライター活動を経て、ファイナンシャルプランナーになった私は、もともとお金に対する興味が高かったわけではありません。マネーライターをしているときにファイナンシャルプランナーのことを知り、たまたま資格を取ったにすぎないのです。家計アドバイスをしているにもかかわらず、若い頃から節約はずっと苦手。「この仕事に向いているのだろうか」と、自分自身に問いかけたことは数えきれないくらいです。
老後資金の貯め方についても、多くのファイナンシャルプランナーとは異なる方法を選択してきました。私が老後資金準備のメインとしているのは、保険と不動産投資の2本立て。老後資金のための保険加入は20代から、不動産投資は30代から始めました。50代の半ばを迎えた今、私の選択は間違っていなかったと、実感しています。

お金への関心が高いとは言えない私が大切にしてきたのは、「自分に向いた方法」で老後資金を準備すること。それは、仕事の経験からきています。
仕事で長らくお金に関わっていますと、もさまざまなブームを目にします。ブームが起こると、その方法は万人向けの良策に思えますが、ブームは時間が経てば過ぎ去ります。そして、「ブームの結果」についての検証がなされないまま、関心は次のブームに移っていきます。
流行りすたりは、フリーライター時代から見てきていますので、私自身はブームには関心を寄せず、いつ何時も、自分に向いた方法で老後資金を貯めたいと考えました。節約が苦手な私にとって、強制力のある方法で老後資金を貯めたほうが、途中で離脱しづらいと思いました。その結果、保険料や住宅ローンの支払いのように、強制的に支払う手段を選んだのです。

2. 高齢者施設の住み替え費用は終身保険で準備

まずは、保険について。
ファイナンシャルプランナーに保険の相談をすると、販売をしている人は、自分が契約している保険会社の保険をすすめ、販売をしていない人は保険をダウンサイジングすることをすすめる機会が多いと思います。メディア的には、保険のダウンサイジングを記事にしたほうが、読者からは高評価を得られるのが一般的です。
振り返ってみますと、保険で貯蓄ができたバブル時代を過ぎてしまえば、保険に過剰に入ることは金融リテラシーの低い人の行動だと受け取られるようになりました。そのような風潮に逆らいつつ、私は保障額を少しずつ増やしました。加入する時点において、予定利率の高めな商品を探して、加入を続けたわけです。

個人年金保険については、夫の早期退職を可能にするために60歳から64歳の5年間に手厚くもらえるようなプランと、公的年金がもらえる65歳以降の生活費の足しにするプランなど、何本かに分けて加入しました。私自身はフリーランサーなので、国民年金基金に加入しています。加入した時点の予定利率は、5.5%という有利なものでした。
また、介護に備えて終身保険にも加入しています。もうすぐ定年を迎える夫が、40代半ばで加入した変額終身保険は、当時はまだ、予定利率が4.5%もありました。40代半ばで変額終身保険に加入してもらったのは、高齢者施設の入居費用を保険金でまかないたいと考えたからです。予定利率が高いだけではなく、ヨーロッパ市場で運用するファンドを選択したため、変動保険金も増えています。
私は若い時に高額な終身保険に加入していまして、夫婦とも数千万円単位の終身保険に加入していることで、どちらが先に亡くなっても、高齢者施設に住み替える際、貯金の取り崩しはしなくてすむようになっています。介護が必要になるのは、一般的に後期高齢者になってから。後期高齢者を迎える頃には、老後資金が減っているはずですので、別のお財布を用意しておいた方が安全だと考えたわけです。

3. 不動産投資は老後にお金を使いやすくする投資法

2つ目は、不動産について。
現在、自宅以外に3件の不動産(区分所有マンション、賃貸用アパート、駐車場)を所有しています。マンションは原稿を書く部屋として使っているので収益は得ていませんが、JRの4路線が走る駅の駅前に位置しています。23区内では、比較的リーズナブルな立地ということもあり、売却に出した部屋は即日買い手が付くほどの人気物件です。

以前は、築年数の古いマンションを事務所に利用していましたが、買い替えを検討。買い替える際の条件は、同じ駅で駅から2分内、築年数は5年以内というもの。老後にも確実に収益を得るためには、「駅から近いこと」と、「築年数が浅いこと」は譲れない条件だと考えたからです。
条件に合わせて調べてみると、私の条件に合う物件は2つしかありませんでした。その2つのマンションのどちらかを手に入れるために、毎日、不動産サイトに物件名を入力して、部屋が売りに出るのを待ちました。そして数カ月後のある日、部屋が売りに出されたことを知り、すぐに契約。まだ築1年という、早い段階での買い替えが実現しました。

住宅ローンに関しては、フラット35のセカンドハウス融資を利用。セカンドハウス融資がスタートして間もない頃で、自宅ではない、住民票のない物件であっても、マイホーム購入と同条件で、フラット35の融資を受けることができました。銀行にも数行、条件を聞きましたが、住民票のない物件は、基準金利に「上乗せ金利」を載せたレートでないと融資ができないと言われたことを覚えています。

仕事用に使っているそのマンションは、この先、仕事が減ったり、セミリタイアをした際には、賃貸に出して老後資金を稼いだのち、売却することを検討しています。

4. 株式投資などの資産運用はアラート機能を活用した優待狙いのみに絞っている

3つ目は、資産運用について。
株式投資などの運用も決して嫌いなわけではなく、優待や配当を目当てに数十銘柄の株(日本株とアメリカ株)を所有しています。ですが、運用が得意ではない私が資産運用だけで老後資金を貯めようとしたら、うまくいかなかったと思います。機動的な売買が下手なことを自覚しているため、現在は優待や配当目的で個別株を保有する方法に限定しています。

保有している株については、日経平均株価が1万円前後まで下がったときに、損を出して銘柄を入れ替えたことがあります。バブルのときに株式投資を始めたために、多くの銘柄で損失を出しましたが、株価が低い時に思い切って銘柄の入れ替えをしたことで、それ以降は一度も損を出していません。
私の場合は、自分が欲しい銘柄の買いたい価格と売りたい価格を、証券会社のアラートに登録してあります。アラートに登録した価格になったとメールが届いたときのみ、売買するという方法を取っています。機動的な売買が苦手なくせに、投資信託のような「人任せ」な運用も好まないため、自分に合った「アラート投資」を老後も続けていこうと考えています。

5. 不動産小口化商品で、不動産投資に慣れるのも一法

ところで、私が保険に入った時と、現在の保険商品をめぐる状況は異なります。リスクを受け入れたうえで外貨建て保険に入り、予定利率の高さを享受しつつ、できれば為替の利益も得たいというのは検討できますが、円建ての保険で殖やせそうな保険は、最近では残念ながら見つけるのは難しくなっています。時代が変われば、運用方法が変わるのは、当然だと思います。

不動産投資については、手間をかけて中古物件を見つけ、自分でリフォームをして賃貸に出すアパート経営などの方法は、これからもおすすめできると考えています。ですが、「手間をかけて探す」ところが非常に難しく、優良物件の情報はプロをはじめ、副業で大家さんをしている方たちの情報網で、早々と売却されてしまいます。また経験を積まないまま(マイホーム以外の購入経験がないまま)、現物の不動産を購入して賃貸に出すのは、資産家でない限り、難しいと思います。

そのようなことを踏まえますと、老後資金準備の中に、不動産の小口化商品を含める方法は検討できると思います。不動産小口化商品は、不動産投資の「はじめの一歩」にも向いているからです。高齢者施設への住み替え資金を確保するために、夫婦とも終身保険に加入している話を書きましたが、介護に備える資金を不動産小口化商品で「老後資金から取り分けておく」考え方もあります。後期高齢期に必要になりそうな資金を預金から切り離しておくと、介護が必要になった場合の資金がきちんと確保できるので、在宅介護はもちろん、施設介護の選択も拡がります。

そして、私自身もこれから検討しなければならない課題に、相続対策があります。相続対策を考える際、現金よりも評価を下げやすい不動産を活用するのはよくある方法です。相続対策は「税」対策だけではなく、誰に、何を渡すかを考えたとき、分けやすい資産(現金や有価証券に加えて、不動産小口化商品)を保有しておくと、争族を防ぎやすくもなるはずです。
資産運用を考える際、株や投資信託を購入する方法を検討する方が多くなりますが、そのほかの方法も組み合わせたほうが、価格変動リスクにも強くなるはずです。

記事執筆:畠中 雅子(ファイナンシャル・プランナー)

弊社の不動産小口化商品「Vシェア」では、個人単位ではなかなか購入することが難しい都心の商業地にある中規模オフィスビルを、共有持分として500万円(1口100万円単位・5口以上)から購入することができ、J-REITのような有価証券と異なり、現物不動産とほぼ同様の扱いで資産保有することが可能です。

また、「Vシェア」は現物不動産と同様、相続税の評価額を引き下げることが可能なため、相続税の負担を軽減しながら、次世代に資産を引き継ぐことが可能なため、相続対策にも有効です。ぜひご検討ください。

  • 本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
  • 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。
写真:畠中 雅子

記事執筆

畠中 雅子はたなか まさこ

ファイナンシャル・プランナー

プロフィール
掲載記事

新聞・雑誌・WEBなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などをおこなう。高齢者施設への住み替え資金アドバイスをおこなう「高齢期のお金を考える会」、ひきこもりのお子さんを持つご家庭に生活設計のアドバイスをおこなう「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。著書は「ラクに楽しくお金を貯めている私の『貯金簿』」(ぱる出版)「ひきこもりのライフプラン」(岩波書店、斎藤環氏との共著)ほか、60冊を超える。
http://miniatureworld.jp/
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