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分散投資の始め方:第2回

リスク分散は必要?資産運用の目的と失敗の許容度【FP執筆】

資産運用 分散投資

目次

資産運用(投資)のリスクを軽減し、安定した運用を図るためには、リスクを分散することが効果的ですが、その手法として分散投資があります。分散投資については「分散投資とは?分散投資の種類やメリット・デメリット【FP監修】」の記事で詳しくご紹介していますが、なぜ資産運用において、リスク分散が必要と言われているのでしょうか。
今回は、リスク分散の必要性について解説をします。

1. リスク分散はなぜ必要か?

分散投資のデメリットには、短期的に大きな利益を出しづらいという点があります。短期間で大きな利益を得たい投資家にとっては、分散投資でなく集中投資のほうが効果的であると言われています。
それでは、なぜ大きな利益を出しづらい分散投資を選択してでも、リスク分散をすることが必要だと考えられるのでしょうか。それは、資産運用の主な目的が、ライフプランにおける資産形成にあるからです。
そしてその目的を達成するためには、「リスク分散」が重要なファクターになります。
リスク分散とは、リスクをできるだけ抑えながら少しでも大きなリターンを得るという考え方のことで、具体的には「分散投資」「長期運用」「積立」という3つの手法を用いて行います。
後述するように、ライフプランにおける必要資金の共通点は「大きな金額」「準備するための時間がある」ということです。
実は、リスク分散のために用いる3つの投資手法は、時間を味方につけながら、大きな資産を形成しやすい方法であり、ライフプランにおける資産形成の特徴にマッチしています。

2. 資産運用の目的

それでは、ライフプランにおける資産形成とは具体的にはどのようなものでしょうか。
それは、主として、人生の三大資金と言われる「教育資金」「住宅資金」「老後資金」を確保することを指しています。
最近は、ライフスタイルの多様化が進み、必ずしも三大資金の全てを必要としない方も増えています。また、資金額や優先順位も人それぞれです。それでも多くの方にとって三大資金は、簡単には準備ができないけれど必要なお金です。
3大資金は、それぞれどのくらいのお金が必要になるのでしょうか。

2-1. 教育資金

一般的に、子どもをひとり育てるのに、約1,000万円ものお金がかかると言われています。
例えば、小学校から高校まで公立、大学は私立を選択した場合で約980万円の教育費がかかります。また、中学校から私立に通う場合は1,400万円を超える費用がかかることになります(※1)。学費以外にも学外費や、下宿の場合には仕送りなども考えなくてはなりません。
教育費については、奨学金や教育ローンで賄う方法もありますが、返済という将来の負担を少しでも軽減するためには、できるだけ資金の準備をしておくことが望ましいと言えます。

※1 参照元:文部科学省「子供の学習費調査(平成28年度)」
文部科学省「私立大学の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」

2-2. 住宅資金

住まいは人生で最大の買い物と言われているように、住宅の取得には多額の資金が必要です。例えば、首都圏では新築一戸建の平均価格が3,766万円(東京都は4,443万円)、近畿圏では平均3,204万円となっています。(※2)
多くの方は住宅ローンを借り入れて住宅を購入します。それでも物件価格の一部と諸費用については自己資金を準備する必要があります。また自己資金が少なければ、その分多額の住宅ローンを借入れすることになるので、毎月の返済額も多くなります。

※2 参照元:東京カンテイ「市況レポート・一戸建て価格推移」2020年1月9日

2-3. 老後資金

長寿社会になったわが国では、老後資金は大きな問題と言われています。
昨年、話題になった「老後2,000万円不足問題」も、背景には日本人の長寿化と少子高齢化があります。厚生労働省によると、2018年の日本人の平均寿命は男性が81.25歳、女性が87.32歳で世界でもトップクラスとなっています。また、男性の4人に1人以上、女性の2人に1人以上が90歳まで生存しているという調査結果もあります。
2,000万円が正確な数字かは疑問の余地がありますが、長生きにお金が伴うことは避けられません。

2-4. 三大資金だけではない、本当の資産運用の目的

多くの方にとって、三大資金の確保が資産運用の大きな目的としてあげられますが、その根本には、豊かな人生を生きたいという思いがあるということにも触れておきます。
三大資金さえ確保できれば満足するということではなく、三大資金は確保した上で、さらに豊かでゆとりのある人生を過ごすことが、資産運用の本当の目的とも言えます。海外旅行、車、趣味など人生を豊かにするためには資金的なゆとりも必要です。そのようなライフプランをイメージしながら資産運用をすることはとても大切です。
ただし、このような余裕資金と異なり、三大資金については失敗の許容度は低くなります。そのためリスクを抑えた資産運用は欠かせない投資手法となります。

3. リスク分散は資産形成には欠かせない

三大資金は金額も大きいため、準備することもなかなかたいへんと思われがちですが、実は三大資金には、「長時間をかけて準備すれば良い」という特徴があります。
少額の自己資金と住宅ローンの利用で早期の住宅購入を希望する場合を除き、三大資金を準備するための時間はたっぷりと与えられているのです。

例えば、教育資金をみても、まとまったお金が実際に必要になるのは、一般的には大学・専門学校などの入学時前後なので、子どもが生まれてから約18年後になります。つまり18年間かけてゆっくりと蓄えていけば良いのです。
また老後資金についても、65歳定年のサラリーマンの場合、仮に30歳から資産運用を始めると、35年もの時間があります。
一般に、長期投資とは期間が5年や10年以上の投資とされていますが、さらに長い時間をかけて、少しずつでも確実に貯めていけば、無理なく資産を増やすことができる可能性がより高まります。

集中投資は、短期間で大きな利益を出すことには適していますが、その反面、リスクも大きく、元本割れの可能性も高くなるため、必要な資金を着実に蓄えるという手段としては適していません。

三大資金は時間をかけて確保することができますが、金額が大きいだけに、運用に失敗して大きく減らすことは許されません。そのため、リスク分散は大きな資金を貯めるためには必要不可欠な考え方と言えます。
その点で、分散投資は特に長期投資においては大きなメリットを持っています。分散投資は全体の値動きの変動幅を小さくする傾向があるため、長期で運用するほどリスクが抑えられ、安定的に資産形成を図ることができます。
このようなことから、長期的に必要になる教育資金や老後資金などリスク分散が必要な資金の確保には、分散投資が効果的とされているのです。
実際には、リスク分散の手法である「分散投資」「長期運用」「積立」を上手に組み合わせることで、リスク分散の効果を高めることにつながります。

資産運用においては、大切なお金を貯えるためにリスクを抑えながら、確実に増やしていくことが何より大切なことです。そのためにリスク分散の必要性は、より高いものと言えるでしょう。

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写真:橋本 秋人

記事執筆

橋本 秋人はしもと あきと

FPオフィス ノーサイド代表
保有資格:ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、終活アドバイザー(終活アドバイザー協会) 他

プロフィール
掲載記事

ファイナンシャル・プランナー 不動産コンサルタント
1961年東京都出身。早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。長年、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてライフプラン・住宅取得・不動産活用・相続などを中心に相談、セミナー、執筆などを行っている。
FPオフィス ノーサイドhttps://fp-noside.jimdo.com/

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